申請を拒否する処分の理由提示義務とは?例外や判例も解説

行政庁に許可や認可などを申請したにもかかわらず、拒否されることがあります。このとき行政庁には、原則として、なぜ拒否したのかを申請者に説明する義務があります。これを理由提示義務といいます。

申請拒否処分には原則として理由提示義務がある

行政庁は拒否処分と同時に理由を示す

行政手続法8条1項本文は、申請によって求められた許認可等を拒否する処分をするとき、行政庁が申請者に対して、その処分の理由を同時に示さなければならないと定めています。

拒否処分を書面でする場合は理由も書面で示す

拒否処分を書面でする場合には、その理由も書面で示す必要があります(行政手続法8条2項)。

申請拒否処分でも理由提示が簡略化される例外

例外が認められるための2つの条件

次の2つの条件を両方とも満たす場合には、拒否処分と同時に理由を示すのではなく、申請者から求められたときに理由を示せば足ります(行政手続法8条1項ただし書)。

  1. 法令に定められた許認可等の要件または公にされた審査基準が、数量的指標その他の客観的指標により明確に定められていること
  2. 申請がその要件や審査基準に適合しないことが、申請書の記載、添付書類その他の申請内容から明らかであること

したがって、客観的な指標により要件や審査基準が明確であるだけでは足りません。また、申請内容から不適合であることが明らかであるだけでも不十分です。原則は「拒否処分と同時に理由を提示」であり、上記の2条件を満たす場合に限って「求められたときの提示」が認められます。

理由は根拠条文を示すだけでは足りない:判例で確認

処分の根拠となる法条だけでは不十分

理由を提示しなければならない場合、判例は、処分の根拠となる法条を示すだけでは足りないとしています(最高裁判所平成4年12月10日判決、最高裁判所昭和60年1月22日判決)。

処分時に示した理由と後の訴訟での主張が異なる場合

情報公開条例に基づく公文書の非公開決定について、最高裁判所平成11年11月19日判決は、行政庁がその処分理由を通知している場合に、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することが可能である旨の判断をしました。

まとめ

  • 申請を拒否する処分では、行政庁は原則として処分と同時に理由を示す
  • 書面で拒否する場合、理由も書面で示す必要がある
  • 法令上の要件または公にされた審査基準が客観的指標により明確で、申請内容から不適合であることが明らかな場合は、求められたときの提示で足りる
  • 理由は処分の根拠となる法条を示すだけでは足りない