不利益処分の聴聞・弁明の機会を省略できる場合とは?行政手続法の例外を解説

行政庁が不利益処分をしようとする場合、原則として、処分の名あて人となるべき者に意見陳述のための手続を執らなければなりません。

許認可等を取り消す処分や、資格・地位を直接失わせる処分などでは聴聞、それ以外の不利益処分では原則として弁明の機会の付与が行われます。ただし、行政手続法13条2項には、これらの手続を省略できる例外が定められています。

不利益処分では、原則として聴聞または弁明の機会が必要

聴聞が行われる場合

次の不利益処分をしようとするときは、聴聞を行います。

  • 許認可等を取り消す処分
  • 名あて人の資格または地位を直接はく奪する処分
  • 法人の役員や業務に従事する者の解任を命じる処分、または法人の会員の除名を命じる処分
  • 上記以外で、行政庁が相当と認める処分

聴聞と弁明の機会の違い

聴聞は、名あて人となるべき者に審理の場を設け、口頭による意見陳述や質問などの機会を与える手続です。

弁明の機会の付与は、聴聞に該当しない不利益処分について行われる手続で、原則として書面による意見陳述の機会を付与します。

聴聞・弁明の機会を省略できる5つの場合

1.公益上、緊急に処分する必要がある場合

公益上、緊急に不利益処分をする必要があり、意見陳述のための手続を執ることができないときは、省略できます。

2.資格の不存在・喪失が客観的に証明されている場合

法令上必要な資格がなかったこと、または失われたことが判明し、その場合に必ず行うこととされている不利益処分をするときは、省略できます。ただし、資格の不存在や喪失が、裁判所の判決書・決定書、一定の職に就いたことを証する任命権者の書類など、客観的な資料によって直接証明されていなければなりません。

3.技術基準への不適合が客観的に確認されている場合

施設や設備の設置・維持・管理、物の製造・販売などについて、法令上の技術的な基準が明確に定められている場合があります。その基準が充足されていないことだけを理由に、基準に従うよう命じる不利益処分をするときは、省略できます。ただし、不充足の事実が計測、実験その他の客観的な認定方法によって確認されている必要があります。

4.金銭の納付や給付制限に関する処分の場合

納付すべき金銭の額を確定する処分、一定額の金銭の納付を命じる処分、金銭の給付決定を取り消す処分、その他の金銭の給付を制限する処分をするときは、聴聞や弁明の機会を省略できます。

5.義務の内容が著しく軽微で、政令で定められている場合

処分によって課される義務の内容が性質上著しく軽微で、名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴く必要がないものとして政令で定められている処分をするときは、省略できます。

省略できるのは法律上の例外に該当する場合だけ

行政手続法13条2項により、聴聞・弁明の機会を省略できるのは、上記5つのいずれかに該当するときです。行政庁がいつでも省略できるわけではありません。原則として意見陳述の手続が必要であり、省略するには例外の要件を満たす必要があります。