行政救済法とは?行政争訟と国家補償の違いをわかりやすく解説

行政の活動によって、国民の権利や利益が侵害されることがあります。その場合に、行政の判断や活動を見直してもらったり、発生した損害・損失の補償を求めたりするための仕組みが行政救済法です。

行政救済法は、大きく行政争訟と国家補償に分けられます。行政活動の是正を求めるのが行政争訟、行政活動によって生じた損害や損失の補償を求めるのが国家補償です。

行政救済法とは

行政救済法とは、行政作用法に基づく行政活動によって、国民の権利・利益が侵害された場合に、救済を求めるための法律・制度をいいます。

  • 行政争訟:違法・不当な行政活動の是正を求める
  • 国家補償:行政活動によって生じた損害・損失の補償を求める

行政争訟と国家補償の違い

行政争訟とは

行政争訟は、行政機関による違法または不当な活動を改めさせるための制度です。行政争訟には、行政訴訟と行政上の不服申立てがあります。

行政訴訟

行政訴訟は、裁判所に訴えを提起し、判決によって違法な行政活動の是正を求める手続です。一般法は行政事件訴訟法です。

行政上の不服申立て

行政上の不服申立ては、行政機関に対して不服を申し立て、その判断による是正を求める手続です。一般法は行政不服審査法です。

行政訴訟と行政上の不服申立ては、原則として自由に選択できます。ただし、例外として、先に不服申立てを行い、その判断(裁決)が出た後でなければ行政訴訟を提起できない場合があります。これを審査請求前置主義といいます。

国家補償とは

国家補償は、行政活動によって生じた損害や損失について、補償を求める制度です。国家賠償と損失補償に分けられます。

国家賠償

国家賠償は、行政機関の違法な活動によって生じた損害を賠償する制度です。一般法として国家賠償法があります。

損失補償

損失補償は、法律上認められた適法な行政活動によって生じた財産的損失を補償する制度です。一般法はありませんが、個別の法律に補償規定が置かれることがあります。また、補償規定が個別法にない場合でも、判例上、憲法29条3項に基づいて直接補償を求められることがあります。

制度 目的 行政活動の性質 主な法律
行政争訟 行政活動の是正 違法・不当(行政訴訟は違法、行政上の不服申立ては違法・不当) 行政事件訴訟法、行政不服審査法
国家賠償 損害の賠償 違法 国家賠償法
損失補償 財産的損失の補償 適法 個別法、憲法29条3項

行政争訟と国家補償の関係

行政争訟と国家補償は、いずれも行政救済の方法ですが、国家賠償を請求するために、あらかじめ行政訴訟を提起し、処分の取消しや無効確認の判決を得なければならないわけではありません。

まとめ

  • 行政救済法とは、行政活動によって侵害された権利・利益を救済する制度です。
  • 行政争訟は行政活動の是正、国家補償は損害・損失の補償を目的とします。
  • 行政争訟には行政訴訟と行政上の不服申立てがあります。
  • 国家補償には国家賠償と損失補償があります。
  • 国家賠償請求の前提として、必ず先に行政訴訟を行う必要があるわけではありません。