この記事は、原則として一般職の国家公務員を対象としています。国家公務員法は、特別職の国家公務員には原則として適用されません。
国家公務員の「不利益処分」とは
不利益処分とは、職員本人の意思に反して、身分や給与などを不利に変更する処分です。代表的なものに、分限処分と懲戒処分があります。
不利益処分に含まれる主な処分
分限処分は、懲戒以外の理由で職員の身分に不利益な変動を生じさせる処分です。一方、懲戒処分は、職務上の義務違反などを理由とする処分です。
分限処分の具体例
- 免職:職を失わせる処分
- 休職:身分を残したまま、一定期間職務に従事させない処分
- 降任:現在より下位の官職に任命する処分
- 降給
本人の意に反する降任・休職・免職は、法律または人事院規則に定められた事由がなければ行えません。主な事由は、勤務実績がよくない場合、心身の故障で職務に支障がある場合、官職に必要な適格性を欠く場合、廃職・過員が生じた場合です。また、長期の休養が必要な場合や、刑事事件で起訴された場合は、休職の事由となります。
懲戒処分の種類と事由
懲戒処分には、免職・停職・減給・戒告があります。国家公務員法や国家公務員倫理法などへの違反、職務上の義務違反・職務怠慢、国民全体の奉仕者としてふさわしくない非行などが処分事由です。
不利益処分を受けた国家公務員に対する保障
処分理由を記載した「説明書」の交付
職員に対し、その意に反して、降給(他の官職への降任等に伴う降給を除く)、降任(他の官職への降任等に該当する降任を除く)、休職若しくは免職をし、その他職員に対し著しく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行おうとするときは、処分をする者は、処分の際に処分の事由を記載した説明書を交付しなければなりません。
- 降給(他の官職への降任等に伴う降給を除く)
- 降任(他の官職への降任等に該当する降任を除く)
- 休職・免職
- その他の著しく不利益な処分
- 懲戒処分
審査請求ができる処分
説明書の交付対象となる処分を受けた職員は、人事院に審査請求ができます。対象は、国家公務員法89条1項に規定する処分や、法律に特別の定めがある処分です。人事院以外の行政機関に申し立てる制度ではありません。
反対に、国家公務員法89条1項に規定する処分や法律に特別の定めがある処分を除く職員への処分は、審査請求できません。
国家公務員の審査請求の期間
原則:説明書を受領した日の翌日から3か月以内
審査請求は、処分説明書を受領した日の翌日から3か月以内に行う必要があります。処分を受けた日ではなく、説明書を受け取った日が基準となる点に注意してください。
上限:処分があった日の翌日から1年以内
3か月以内であっても、処分があった日の翌日から1年を経過すると審査請求できません。つまり、次の両方を満たす必要があります。
- 説明書を受領した日の翌日から3か月以内
- 処分があった日の翌日から1年以内
審査請求を検討する際に確認する事項
- 処分の種類
- 説明書の交付を受けたか
- 説明書を受領した日
- 処分があった日
- 審査請求の対象となる処分か
まとめ
国家公務員の不利益処分には、分限処分と懲戒処分があります。一定の処分では理由を記載した説明書が交付され、対象となる職員は人事院に審査請求できます。期間は説明書を受領した日の翌日から3か月以内ですが、処分の翌日から1年を経過すると請求できないため、日付を早めに確認しましょう。
