「問屋」という言葉には、一般的な卸売業者という意味と、商法上の法律用語としての意味があります。商法上の問屋とは、自己の名をもって、他人のために物品の販売または買入れをすることを業とする者です(商法551条)。ここでいう問屋は、一般的な「とんや」とは異なる場合があります。
商法上の問屋とは
問屋の定義
「自己の名をもって」とは、取引相手との契約について、問屋自身が当事者になるという意味です。委託者から依頼を受けた問屋は、委託者の名前を出して売買するのではなく、自分の名義で物品を売買します。なお、問屋に依頼する委託者は、商人である必要はありません。
問屋と代理商の違い
| 項目 | 問屋 | 代理商 |
|---|---|---|
| 根拠規定 | 商法551条以下 | 商法27条以下 |
| 役割 | 他人のために物品を販売・買入れする | 商人・会社のために取引を代理・媒介する |
| 取引名義 | 問屋自身 | 商人・会社のために行う |
| 契約の効果 | 問屋自身が権利を得て義務を負う | 代理なら本人である商人・会社に効果が帰属する |
代理商は、商人または会社の使用人ではない独立した補助者です。契約を締結する締約代理商と、契約成立を助けるだけの媒介代理商があります。問屋が自ら売買契約の当事者になるのに対し、代理商は本人のために代理または媒介をする点が重要です。
問屋の権利義務
相手方に対する権利義務
問屋は、委託者のためにした販売・買入れについて、取引相手に対して自ら権利を取得し、義務を負います(商法552条1項)。そのため、相手方から見れば、契約相手は委託者ではなく問屋です。
相手方が履行しない場合
別段の意思表示や慣習がない限り、取引相手が代金の支払いなどをしないとき、問屋は自ら履行する責任を負います(商法553条)。ただし、契約内容や慣習によって異なるため、常に問屋が責任を負うとは限りません。
指値に従う義務
委託者が売買金額を指定した場合、その金額を指値といいます。問屋は原則として指値に従う必要があり、指値に反する売買は委託者に対して効力を生じません(商法554条)。
例外として、問屋が指値との差額を自ら負担する場合は、その売買が委託者に対して効力を生じます。
問屋と委託者との関係
問屋と委託者との関係について、商法に特別な定めがない部分には、民法上の委任・代理に関する規定が準用されます(商法552条2項)。問屋と取引相手との売買契約と、問屋・委託者間の委託関係は、分けて考える必要があります。
まとめ:問屋を理解するポイント
- 商法上の問屋は、他人のために自己の名義で物品を販売・買入れする者
- 問屋は取引相手に対して、自ら権利を取得し、義務を負う
- 相手方が履行しない場合、原則として問屋が履行責任を負う
- 問屋は指値に従う必要があるが、差額を負担すれば例外がある
- 代理商は本人のために代理・媒介をする点で問屋と異なる
