現物出資では、定款に現物出資財産等の価額を記載または記録します。しかし、会社成立時における現物出資財産等の価額が、定款に記載または記録された価額に著しく不足する場合があります。
この場合に、発起人と設立時取締役が会社に不足額を支払う責任が不足額填補責任です。根拠条文は会社法52条1項です。
現物出資の不足額填補責任とは
会社成立時の財産価額が定款記載額を著しく下回る場合の責任
会社成立時における「現物出資財産等」の価額が、定款に記載または記録された価額に著しく不足すると、不足額填補責任が発生します。
金銭出資には生じない
不足額填補責任は「現物出資財産等」のみに生じ、金銭出資については生じません。
発起人と設立時取締役が負う責任の内容
発起人と設立時取締役が連帯して責任を負う
責任を負うのは、発起人と設立時取締役です。両者は会社に対して、連帯して不足額を支払う義務を負います。
一方、設立時監査役は、不足額填補責任の対象者ではありません。
設立時取締役による設立事項の調査との関係
設立時取締役は、選任後、遅滞なく設立事項を調査します。ただし、設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合には、設立時取締役及び設立時監査役が調査します。
調査事項には、現物出資財産等がある場合において、定款に記載された価額が相当であること、弁護士等による証明がある場合にはその証明が相当であること、出資の履行が完了していること、設立手続が法令または定款に違反していないことが含まれます。
不足額填補責任を免れる場合と責任の免除
検査役の調査を経ている場合
現物出資財産等の価額について検査役の調査を経た場合には、発起人及び設立時取締役は、不足額填補責任を免れることができます。
職務を怠らなかったことを証明した場合
発起設立において、発起人または設立時取締役が、職務を行うについて職務を怠らなかったことを証明した場合には、責任を免れることができます。
ただし、現物出資の財産を給付した発起人や、財産引受の財産の譲渡人である発起人は、この免責の対象外です。この免責は発起設立に限られます。
総株主の同意による免除
検査役の調査などによって責任を免れる場合とは別に、不足額填補責任は、総株主の同意によって免除することもできます(会社法55条)。
まとめ
- 現物出資財産等の価額が定款記載額に著しく不足すると、不足額填補責任が発生する
- 発起人と設立時取締役が会社に対して連帯責任を負う
- 金銭出資にはこの責任は生じない
- 検査役の調査や、発起設立における職務懈怠がなかったことの証明により免責される場合がある
- 発生した責任は、総株主の同意で免除できる
