取締役の忠実義務・善管注意義務とは?違いと内容を解説

取締役には、会社の利益を守り、適切に職務を行うことが求められます。代表的な義務が善管注意義務と忠実義務です。両者は別の規定ですが、重なる部分もあります。

ここでは、それぞれの意味や違反した場合の責任を、具体例を交えて解説します。

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取締役の善管注意義務とは

善管注意義務の意味

取締役と会社の関係は、民法上の委任に関する規定に従います(会社法330条)。そのため取締役は、受任者一般に課される善管注意義務を負い、職務を適切に行わなければなりません。

取締役の忠実義務とは

忠実義務の意味

取締役は、法令・定款・株主総会の決議を守り、会社のために忠実に職務を行う義務を負います(会社法330条、355条)。会社の立場を利用して、自分や第三者の利益を会社の利益より優先してはなりません。

忠実義務と関係する取引

次の取引では、取引に関する重要な事実を開示し、承認を受ける必要があります。

  • 競業取引:取締役が自己または第三者のために、会社の事業の部類に属する取引をする場合
  • 直接取引:取締役が自己または第三者のために、会社と取引をする場合
  • 間接取引:取締役以外の者との間において、会社と取締役の利益が相反する取引。会社が取締役の債務を保証する場合など

取締役会を設置していない会社では株主総会、取締役会設置会社では取締役会の承認を受けます。また、取締役会設置会社では、事前承認の有無にかかわらず、取引後に遅滞なく重要な事項を取締役会へ報告しなければなりません(会社法365条2項)。

善管注意義務と忠実義務の違い

義務 主な内容
善管注意義務 受任者一般に課される注意義務
忠実義務 法令・定款・株主総会決議を守り、会社のために忠実に職務を行う義務

善管注意義務は職務を適切に行うための一般的な注意義務、忠実義務は会社のために法令・定款・株主総会決議を守って職務を行う義務といえます。同じ行為が、両方の義務違反に当たることもあります。

義務に違反した場合の取締役の責任

取締役が任務を怠って会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償責任を負います(会社法423条1項)。善管注意義務違反や忠実義務違反は、任務懈怠に該当し得ます。なお、会社と直接取引をした取締役の責任は、無過失責任となります(会社法428条1項)。

さらに、職務を行うことについて悪意または重大な過失があった場合は、取引先などの第三者に対しても損害賠償責任を負うことがあります(会社法429条1項)。

まとめ

善管注意義務は、受任者一般に課される注意義務です。忠実義務は、法令・定款・株主総会決議を守り、会社のために忠実に職務を行う義務です。競業取引や利益相反取引では承認が必要となるため、取締役は自分の利益と会社の利益が衝突しないかを慎重に確認する必要があります。