商法の適用対象は「商人」と「商行為」
商法は、基本的に商人が営業のために行う行為と、商人でない者が行う商行為に適用されます(商法1条)。商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者などをいいます。事業に必要な仕入れや営業資金の借入れなど、営業に付随する行為も対象になります。
また、商人でなくても、商法上の商行為を行えば、その行為について商法が適用されます。したがって、継続的な事業者でなくても、1回限りの行為が商行為に該当する場合があります。
会社については、その事業として行う行為や事業のために行う行為が商行為とされます(会社法5条)。そのため、会社には商法が適用されます。国や地方公共団体などの公法人も、法令に別段の定めがない限り、商行為を行う場合は商法の対象です(商法2条)。
商行為には3つの種類がある
絶対的商行為
絶対的商行為とは、営利性が特に高く、商人でない者が1回だけ行っても商行為となるものです。利益を得て譲渡する意思をもって動産・不動産・有価証券を有償で取得する行為や、その取得したものを譲渡する行為、他人に供給する動産・有価証券の供給契約およびその履行のための有償取得、取引所での取引、手形などの商業証券に関する行為が含まれます。
営業的商行為
営業的商行為は、営利性のある行為を営業として反復・継続して行う場合に成立します。動産・不動産の賃貸、製造・加工、電気・ガスの供給、運送、作業・労務の請負、出版・印刷・撮影、客の来集を目的とする場屋での取引、銀行取引、保険、寄託、仲立ち、取次ぎなどが代表例です。
ただし、個人が専ら賃金を得る目的で製造や労務に従事する場合は、営業的商行為には含まれません。
附属的商行為
附属的商行為とは、商人が営業のために行う行為です。原材料の購入や運転資金の借入れなどが該当します。商人が行う行為は、基本的商行為以外のものであっても、営業のために行ったものと推定されます(商法503条2項)。絶対的商行為と営業的商行為を合わせて、基本的商行為と呼びます。
商人には「固有の商人」と「擬制商人」がいる
固有の商人
固有の商人とは、自己の名をもって商行為をすることを業とする者です(商法4条1項)。「自己の名をもって」とは、その行為から生じる権利や義務が本人に帰属するという意味で、会社や個人商人などが該当します。
擬制商人
擬制商人は、商行為を業としていなくても、一定の事業形態から法律上商人とみなされる者です(商法4条2項)。店舗などの設備を使って物品販売を行う者や、鉱業を営む者が該当します。
農業・林業・水産業などの原始生産者は、基本的商行為を行う商人には含まれません。ただし、店舗などの設備によって販売する場合は、擬制商人となることがあります。また、資格に基づく業務や芸術活動は、報酬を得ていても、営利目的がないため商人には含まれません。
商法に定めがない場合の扱い
商人の営業や商行為について商法に規定がないときは、まず商慣習に従います。商慣習もない場合には、民法の定めに従います(商法1条2項)。つまり、商法に定めがない事項については、商慣習、次いで民法の順に適用関係を考えます。
まとめ
- 商法の主な適用対象は、商人と商行為です。
- 商人が営業のために行う行為には、営業に付随する行為も含めて商法が適用されます。
- 商人でなくても、絶対的商行為などを行えば、その行為について商法の対象となります。
- 会社の事業行為や事業のための行為も商行為です。
- 商法に定めがない場合は、商慣習、次いで民法の定めに従います。
