役員の補償契約・保険契約とは?会社法上の制度を解説

会社役員は、職務上の義務に違反した場合、会社に生じた損害を賠償しなければならないことがあります(会社法423条1項)。また、職務について悪意または重大な過失があるときは、取引先などの第三者に対しても責任を負う場合があります(同法429条1項)。

このような責任に備え、会社法は「補償契約」と「保険契約」という2つの制度を定めています。

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役員の補償契約・保険契約とは

役員が負う損害賠償責任への備え

役員が負う可能性のある責任は、会社経営に伴う重要なリスクです。責任を負うことへの不安から、役員になろうとする人材が不足することを防ぐため、会社が一定の費用や損害に備える仕組みが設けられています。

2つの制度の違い

補償契約は、会社が役員等に対し、職務に関して発生した一定の費用や賠償を補償することを約束する契約です。

保険契約は、役員等が職務の執行に関して負う損害などを補てんするため、会社が保険契約を締結する制度です。

つまり、補償契約は会社自身が補償を約束する仕組みであり、保険契約は保険による補てんに備える仕組みです。

補償契約とは

補償契約の内容

会社法430条の2の補償契約は、役員等が職務に関して負うこととなった一定の費用や賠償の全部または一部について、会社が補償することを約束するものです。

締結に必要な決議

補償契約を締結するには、会社の機関決議が必要です。

  • 取締役会設置会社:取締役会の決議
  • 取締役会非設置会社:株主総会の決議

決議を経たうえで、会社と役員等との間で契約を締結します。

保険契約とは

保険契約の内容

会社法430条の3の保険契約は、役員等が職務の執行に関して負う損害などを補てんするために、会社が締結する保険契約です。補償契約のように会社が直接補償を約束するのではなく、保険による補てんに備える点に特徴があります。

締結に必要な決議

保険契約についても、次の決議が必要です。

  • 取締役会設置会社:取締役会の決議
  • 取締役会非設置会社:株主総会の決議

補償契約と保険契約の違い

項目 補償契約 保険契約
仕組み 会社が一定の費用や賠償を補償 会社が保険契約を締結し、損害などの補てんに備える
根拠条文 会社法430条の2 会社法430条の3
必要な決議 取締役会設置会社は取締役会、非設置会社は株主総会

まとめ

補償契約は、会社が役員等の職務に関する一定の費用や賠償を補償する制度です。一方、保険契約は、役員等の職務執行に伴う損害などについて、保険による補てんに備える制度です。いずれも、締結には会社法上の機関決議が必要となります。