一方的商行為とは、当事者の一方にとって商行為となる行為
商法3条1項が定める一方的商行為の原則
一方的商行為とは、当事者の一方にとって商行為となる行為をいいます。
商法は民法の特別法であり、民法を補足し、又は修正する規定を置いています。商法3条1項は、一方の当事者にとって商行為となる行為について、原則として当事者双方に商法を適用すると定めています。
したがって、一方の当事者にとって商行為となる場合でも、商法の適用が一方の当事者だけに限られるわけではありません。
当事者の一方が複数人いる場合も、原則として全員に商法が適用される
商法3条2項は、当事者の一方が2人以上いる場合についても定めています。そのうち1人のために商行為となる行為については、その全員に商法が適用されます。
つまり、複数人のうち商行為となる関係にある者だけに商法が適用されるのではなく、その者と同じ側にいる全員に商法が適用されます。
一方的商行為でも、すべての商法上の特則が適用されるわけではない
商法3条の原則と、商人間に限られる特則を区別する
一方的商行為では、原則として商法が当事者双方に適用されます。しかし、商法上の特則の中には、当事者双方が商人であることを要件とするものがあります。この場合、一方だけが商人であれば、その特則は適用されません。
商人間に限られる主な特則
- 金銭消費貸借の法定利息:商人間で金銭の消費貸借をした場合、特約がなくても貸主が法定利息を請求できます。一方だけが商人の場合、この商法上の特則は適用されません。
- 商事留置権:商人間において、双方のために商行為となる行為によって生じた債権について認められる留置権です。一方だけが商人の場合、商法521条の商事留置権は適用されません。
- 商事売買の特則:売主による目的物の供託・競売、定期売買の履行遅滞による解除、買主の検査・通知義務、解除後の目的物の保管・供託義務などは、商人間の売買を対象とする特則です。
一方的商行為における商法適用の確認ポイント
- 当事者の一方にとって、問題となる行為が商行為に当たるか
- 一方の当事者が複数人いる場合、商行為となる行為について同じ側に複数人がいるか
- 適用したい商法の条文が、当事者双方が商人であることを要件としていないか
つまり、「一方的商行為だから商法は適用されない」と考えるのも、「一方にとって商行為であれば、商人間の特則もすべて適用される」と考えるのも正確ではありません。
まとめ
一方的商行為とは、当事者の一方にとって商行為となる行為です。商法3条1項により、原則として商法は当事者双方に適用されます。また、一方の当事者が複数人いる場合も、商法3条2項により、その全員に商法が適用されます。
ただし、法定利息、商事留置権、商事売買など、「商人間」を要件とする特則は別です。商法の適用を判断するときは、まず一方的商行為に当たるかを確認し、そのうえで個別の条文が当事者双方の商人性を求めているかを確認しましょう。
