被補助人がした法律行為は、被補助人であるというだけで取り消せるわけではありません。原則として、被補助人は単独で法律行為を行えます。
ただし、家庭裁判所によって、その法律行為に補助人の同意が必要とされている場合は別です。同意や、それに代わる家庭裁判所の許可を得ずに行った法律行為は、取り消せることがあります。
被補助人の法律行為は原則として取り消せない
被補助人とは
被補助人とは、精神上の障害によって物事の判断能力が不十分な人で、家庭裁判所から補助開始の審判を受けた人をいいます。判断能力が不十分な状態にあるだけでは、法律上の被補助人にはなりません。
補助開始の審判がされると補助人が選任されますが、補助人に当然にすべての法律行為について同意権が認められるわけではありません。
なお、補助開始の審判は、同意権を付与する審判または代理権を付与する審判とともにしなければなりません。
単独でできる法律行為が原則
被補助人は、補助人の同意が必要とされていない法律行為であれば、単独で有効に行えます。したがって、後から「被補助人だから」という理由だけで取り消すことはできません。
補助人の同意が必要な法律行為
家庭裁判所の審判が必要
補助人の同意が必要になるのは、家庭裁判所が同意権を付与する審判をした場合です。同意の対象となるのは、被保佐人について同意が必要とされる法律行為の一部に限られます。そのため、補助人がいるだけで幅広い法律行為に同意が必要になるわけではありません。
本人以外の人の請求によって同意権付与の審判をする場合には、本人の同意も必要です。
日常生活に関する行為は対象外
日用品の購入など、日常生活に関する行為については、補助人の同意を必要とすることはできません。取消しの可否を判断するときは、次の点を確認します。
- 本人が法律上の被補助人か
- その法律行為について同意権付与の審判があるか
- 日常生活に関する行為ではないか
補助人の同意に代わる家庭裁判所の許可
同意が必要な法律行為でも、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しないことがあります。その場合、被補助人は家庭裁判所に申し立てて、補助人の同意に代わる許可を求められます。
補助人が同意しないことによって被補助人の利益が害されるおそれがない場合に、この許可が認められることがあります。許可を得て行った法律行為は、補助人の同意がないことを理由として取り消されません。
同意も許可もなければ取り消せる
次の条件をすべて満たすと、被補助人がした法律行為は取り消すことができます。
- 行為者が法律上の被補助人である
- その法律行為について補助人の同意が必要とされている
- 補助人の同意を得ていない
- 同意に代わる家庭裁判所の許可も得ていない
この場合、取消しができるのは被補助人本人だけではありません。補助人も取り消すことができます。反対に、同意または家庭裁判所の許可を得て行った法律行為は、このルールによる取消しの対象にはなりません。
まとめ
被補助人の法律行為は、原則として単独で有効に行えます。取り消せるのは、家庭裁判所の審判で補助人の同意が必要とされた法律行為について、同意も同意に代わる許可も得ずに行った場合です。したがって、まずは補助開始の審判だけでなく、同意権付与の審判があるかを確認することが重要です。
