多数当事者の債権・債務とは?分割債権・分割債務の原則を解説

多数当事者の債権・債務とは?

多数当事者の債権・債務の意味

多数当事者の債権・債務とは、1個の契約について、債権者または債務者、もしくはその双方が複数いる場合をいいます。

例えば、AとBが共同所有する甲建物をCに売却した場合、代金債権についてはAとBが債権者となります。一方、Aが所有する甲建物をBとCが共同で購入した場合、代金債務についてはBとCが債務者となります。

分割債権・分割債務の原則とは?

可分給付については、原則として等しい割合に分かれる

分割することが可能な給付(可分給付)について、1個の契約につき複数の債権者または債務者がいる場合、別段の意思表示(特約)がなければ、各債権者または各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、または義務を負います。これは民法427条のルールです。

このような関係を、分割債権・分割債務といいます。

分割債権の内容

債権者が複数いる場合、各債権者は原則として、自分の割合に相当する部分の権利を有します。1人の債権者が、特約などがないにもかかわらず、他の債権者の分まで当然に請求できるわけではありません。

分割債務の内容

債務者が複数いる場合、各債務者は原則として、自分の割合に相当する部分の義務を負います。特約がなければ、負担する割合は均等です。

具体例で確認する分割の計算

例えば、甲建物の代金が1,000万円で、BとCが債務者となる場合、特約がなければ、BとCはそれぞれ500万円ずつ、Aに対して代金債務を負います。

分割債権・分割債務の原則が適用されない場合

別段の意思表示(特約)がある場合

民法427条は、別段の意思表示がない場合に適用されます。そのため、契約などで権利や義務の割合を別に定めていれば、その内容に従います。

また、債権の目的が性質上可分であっても、法令の規定または当事者の意思表示によって、数人が連帯して債務を負う連帯債務となる場合があります。この場合、債権者は各連帯債務者に対して、全部または一部の履行を請求できます。

給付を性質上分割できない場合

建物の引渡しのように、給付の性質上分割できない場合は、可分給付を前提とする分割債権・分割債務の原則は適用されません。この場合は、不可分債権または不可分債務として扱われます。

例えば、BとCがA所有の甲建物を共同で購入した場合、BとCの甲建物の引渡債権は不可分債権となります。また、AとBが共同所有する甲建物をCに売却した場合、AとBが負うCへの引渡債務は不可分債務となります。

分割債権・分割債務を判断するポイント

  • 債権者または債務者が複数いるか
  • 給付が分割可能な可分給付か
  • 別段の意思表示(特約)があるか
  • 特約がなく可分給付であれば、原則として等しい割合に分かれるか

当事者が複数いるというだけで、全員が全額を請求できたり、全員が全額を負担したりするとは限りません。

まとめ

多数当事者の債権・債務とは、1個の契約について債権者または債務者、もしくはその双方が複数いる関係です。可分給付について別段の意思表示がない場合は、分割債権・分割債務となり、各人の権利や義務は原則として等しい割合になります(民法427条)。ただし、特約などによって連帯債務となる場合や、給付が性質上分割できない場合は、異なる扱いになります。