公物とは、国や地方公共団体などの行政主体が、公の目的のために直接供用する有体物をいいます。道路や河川だけでなく、行政機関が使う施設なども公物に含まれます。公物には、利用者や整備の有無などによる複数の分類があります。
公物とは?意味と成立する条件
公物の定義
公物に該当するための基本的な要素は、次の3つです。
- 国や地方公共団体などの行政主体が供用すること
- 公の目的のために直接供用されていること
- 形のある有体物であること
ここでいう「供用」とは、公の目的に使ったり、一般の人々の利用に提供したりすることです。したがって、形のない電波などの無体物は、公物には含まれません。
公物は国や自治体が所有しているとは限らない
公物となるために、所有権が国や地方公共団体にある必要はありません。私人が所有する物であっても、公の目的のために直接供用されていれば、公物に該当する場合があります。つまり、公物と国有・公有の物は同じ意味ではありません。
公物の主な分類
公用物と公共用物
- 公用物:国や地方公共団体の公用に直接使われる公物です。たとえば、官公署の庁舎が挙げられます。
- 公共用物:一般の人々が共同で利用するために供用される公物です。たとえば、道路や河川が挙げられます。
両者の違いは、行政主体が自ら使うものか、一般の人々が使うものかという点です。
人工公物と自然公物
- 人工公物:国や地方公共団体が、手を加えて公物としたものです。道路や公園などが例です。
- 自然公物:国や地方公共団体などの人の手が加わっていないままの状態で公物となったものです。河川や湖沼などが挙げられます。
この分類は、人の手を加えて公物となったかどうかによるものです。公用物・公共用物とは異なる観点からの分類なので、混同しないようにしましょう。
公物の利用開始・廃止と、所有関係による区別
人工公物における公用開始行為と公用廃止行為
人工公物のうち公共用物は、一般の利用に供するために公用開始行為が行われます。これは、国や地方公共団体が対象物を使用してもよい旨の意思を示すことです。公用開始行為は、行政法上の行政行為に分類されます。
これに対し、対象物を利用に供さなくする旨などの意思を示すことを公用廃止行為といいます。
自然公物には公用開始行為がない
自然公物は、そのままの状態で一般の人々が利用しているため、公用開始行為はありません。公用開始行為や公用廃止行為が行われるのは、人工公物の公共用物です。
公有の公物と私有の公物
公物には、国や地方公共団体が所有するものだけでなく、私人が所有するものもあります。所有者だけで判断するのではなく、公の目的のために直接供用されているかどうかが重要です。
予定公物
予定公物とは、現在は公物ではないものの、将来、公物として供用することが決まっている物をいいます。たとえば、公園予定地などです。現在すでに公物となっている物とは区別されます。
まとめ
公物とは、行政主体が公の目的のために直接供用する有体物です。国や地方公共団体が所有している必要はなく、私人所有の公物もあります。公用物・公共用物、人工公物・自然公物などに分類され、人工公物の公共用物では公用開始行為や公用廃止行為が行われます。一方、自然公物には公用開始行為はありません。また、将来公物となる予定公物も存在します。
