違法な随意契約は無効になる?地方自治体の契約の効力を判例で解説

地方自治体が一般競争入札をせず、特定の事業者と随意契約を締結した場合、その契約は無効になるのでしょうか。

結論として、随意契約の要件を満たさない契約は、地方自治法上は違法です。ただし、違法であるというだけで、契約が私法上当然に無効になるわけではありません。契約を有効とすると、随意契約を制限した法令の趣旨が失われるような特段の事情がある場合に限り、無効となります。

地方自治体の契約は一般競争入札が原則

随意契約は例外的に認められる契約方法

地方自治体の公共事業契約は、当事者間の合意に基づく私法上の契約です。一方で、公金を使うため、経済性や公共性も求められます。

そこで地方自治法234条は、契約方法について一般競争入札を原則としています。指名競争入札、随意契約、せり売りを利用できるのは、政令で定められた場合に限られます。

随意契約については、地方自治法施行令167条の2第1項が、利用できる事由を列挙しています。したがって、その事由に該当しないのに随意契約を締結すれば、契約方法は違法です。

違法な随意契約でも、原則として当然には無効にならない

「契約方法が違法」と「契約が無効」は別に判断される

随意契約の制限に違反した場合、まず問題になるのは契約手続の違法性です。しかし、契約の私法上の効力は、別に判断されます。

最高裁昭和62年5月19日判決は、随意契約の要件に該当しない契約であっても、私法上当然に無効になるものではないと判断しました。つまり、「随意契約の要件を満たさない=必ず無効」ではありません。

無効となるのは法令の趣旨を失わせる特段の事情がある場合

たとえば、次のような事情があると、契約は無効となります。

  • 随意契約の事由に該当しないことが誰の目にも明らかな場合
  • 契約相手方が、随意契約が許されないことを知っていた場合
  • 契約相手方が、許されないことを知り得た場合
  • 契約を有効にすると、随意契約を制限した法令の趣旨が失われる場合

したがって、一般競争入札を行わなかったという事実だけで、直ちに契約が無効になるわけではありません。

最高裁判例から見る「違法な随意契約が無効になる場合」

最判昭和62年5月19日の判断

この判例は、一般競争入札によるべき契約を随意契約で締結した場合の効力を示したものです。最高裁は、随意契約の事由に該当しない契約は違法としつつ、無効となるのは、違法性が明白であることや、相手方が違法性を知っていた、または知り得たことなど、法令の趣旨を没却する特段の事情がある場合だとしました。

違法な随意契約の効力を判断するポイント

  1. 随意契約で締結されたか
  2. 施行令167条の2第1項の事由に該当するか
  3. 該当しない場合、その違法性が明白か
  4. 相手方が違法性を知っていた、または知り得たか
  5. 契約を有効とすると法令の趣旨が失われる特段の事情があるか

要件に該当する随意契約は適法です。該当しない場合は契約方法が違法になりますが、私法上無効となるのは、特段の事情がある場合に限られます。「違法」と「無効」は同じ意味ではない点に注意が必要です。

まとめ

地方自治体の契約は一般競争入札が原則で、随意契約は法令が認める場合に限られます。要件を満たさない随意契約は違法ですが、当然に無効となるわけではありません。違法性の明白さや契約相手方の認識などを踏まえ、契約を有効とすると法令の趣旨が失われる特段の事情があるかによって、無効かどうかが判断されます。