違法な行政行為の公定力とは?取消しや無効との関係をわかりやすく解説

行政処分は、法律に違反していても、直ちに効力を失うとは限りません。違法な行政行為を、権限のある行政機関や裁判所が取り消すまで一応有効なものとして扱う仕組みが公定力です。

違法な行政行為にも及ぶ「公定力」とは

公定力の意味

公定力とは、行政行為に違法な点があっても、権限のある行政機関や裁判所によって取り消されるまでは、その効力を否定できないという考え方です。

公定力は、行政行為が適法であることを意味するのではなく、行政上の法律関係を安定させるための仕組みです。

ただし、違法性が特に重大な場合には、公定力が認められず、行政行為が無効となることがあります。したがって、違法であることと、直ちに無効であることは別問題です。

公定力と「取消し」「無効」の関係

原則:違法な行政行為は取消しによって効力を否定する

通常の違法な行政行為には、取消原因があると考えられます。取消しがされるまでは公定力により一応有効ですが、行政庁による職権取消し、審査請求、取消訴訟などによって取り消されると、原則として行政行為が成立した時点にさかのぼって効力が失われます。

例外:重大・明白な違法は無効となる

行政行為の瑕疵(法律上の欠陥)が、重大な法規違反であり、かつ外観上明白である場合、判例上は無効となります。外観上明白とは、外観上一見して瑕疵が明白であることをいいます。

もっとも、第三者を保護する必要がないなどの要件を満たす場合には、明白性がなくても、重大性を理由に無効と判断されることがあります。

取消しと無効の違い

  • 取消し:取り消されるまでは一応有効。取消しにより、原則として成立時にさかのぼって効力が失われる。
  • 無効:はじめから効力がなく、取消しを待つ必要がない。

つまり、違法な行政行為がすべて無効になるわけではありません。重大で明白な瑕疵などがある場合に、無効となることがあります。

取消しを求める場合と無効を主張する場合の違い

取消しの場合:取消訴訟などで争う

通常の違法な行政行為の効力を否定するには、原則として取消訴訟による必要があります。行政行為の違法性を、民事訴訟などで自由に判断してもらうことはできません。取消訴訟には、原則として6か月以内という出訴期間があります。行政庁による職権取消しや、審査請求による取消しを求める方法もあります。

無効の場合:無効を前提に争える

無効な行政行為は、はじめから効力がないため、取消訴訟による取消しを待つ必要がありません。無効を前提として民事訴訟などを提起できるほか、行政事件訴訟法上の無効等確認の訴えによって、無効の確認を求めることもできます。この訴えには、取消訴訟のような出訴期間の制約はありません。

救済手段を選ぶ際の注意点

まず、問題となる瑕疵が通常の取消原因なのか、重大・明白な無効原因なのかを区別することが重要です。違法性が重大・明白でない限り、原則として取消訴訟などによって争うことになります。

まとめ:公定力があるため、違法でも直ちには無効にならない

公定力とは、違法な行政行為であっても、取り消されるまでは一応有効として扱う効力です。通常は取消訴訟などによる取消しが必要ですが、違法性が重大で、外観上も明白な場合などは、はじめから無効となります。取消しには原則として出訴期間がある一方、無効等確認の訴えにはそのような期間制限がないため、両者を正しく区別しなければなりません。