二重効果的行政行為とは、1つの行政行為が、ある人には利益を与える一方で、別の人には不利益を与えるものです。「複効的行政行為」と呼ばれることもあります。
このような行政行為では、職権取消しや撤回をどのような基準で行うべきかが問題になります。以下では、授益的行政行為・侵害的行政行為との関係を整理します。
二重効果的行政行為とは
授益的行政行為と侵害的行政行為
授益的行政行為とは、営業許可のように、行政庁が国民に一定の利益を与える行為です。
これに対して侵害的行政行為とは、国民の権利や利益を制限したり、不利益を与えたりする行為をいいます。
ある行政行為が、その相手方にとっては授益的行政行為であっても、別の者にとっては侵害的行政行為にあたる場合があります。このように、誰に利益が生じ、誰に不利益が生じるのかを分けて考えることが重要です。
二重効果的行政行為は授益的行政行為として扱う
二重効果的行政行為は、職権取消しや撤回の場面では、基本的に授益的行政行為に即して扱うと考えられています。
行政行為を取り消したり撤回したりすると、利益を受けていた相手方は、その利益を失うことになります。そのため、相手方の信頼や法的安定性にも配慮しなければなりません。
第三者に不利益があるからといって、侵害的行政行為と同じように、行政庁が直ちに自由に処分の効力を消滅させられるわけではありません。
職権取消し・撤回をする場合の考え方
職権取消し
職権取消しとは、行政行為が成立した時点ですでに違法または不当であった場合に、行政庁が自ら取り消すことです。授益的行政行為では、次の事情を比較して判断します。
- 取消しによって相手方が受ける不利益
- 取消しをしないことで、違法・不当な効果を維持する不利益
- 処分を放置することが公共の福祉に照らして著しく不当かどうか
判断の基準は、行政行為がされた時点の事情です。その時点で違法または不当であると認められない場合、それを理由とする職権取消しは違法となります。
撤回
撤回は、行政行為の成立時には適法だったものの、その後に生じた事情によって、将来に向かって効力を消滅させることです。相手方の不利益を考慮しても、なお撤回すべき公益上の必要性があるかが問題になります。したがって、第三者に不利益があるというだけで、直ちに撤回できるわけではありません。
手続上の扱い
授益的行政行為の職権取消しや撤回によって相手方が不利益を受ける場合、その処分は行政手続法上の不利益処分に当たります。そのため、原則として、処分前に意見陳述のための手続が必要です。
まとめ
二重効果的行政行為とは、相手方には利益を与え、第三者には不利益を与える行政行為です。職権取消し・撤回では、基本的に授益的行政行為として扱われます。
職権取消しでは処分当初の違法・不当性、撤回では後発的な公益上の必要性が重要となり、相手方の不利益や法的安定性も考慮されます。
