行政手続法上の届出は、行政機関が内容を審査して受理した時点で完了するものではありません。一定の形式的要件を満たした届出が、法令上の届出先とされた機関の事務所に到達した時点で、届出をする義務が履行されたものと扱われます。
行政手続法上の「届出」とは
届出の意味
届出とは、行政庁に一定の事項を通知する行為であり、その通知が法令によって直接義務付けられているものをいいます。また、自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるために、その通知をすべきこととされているものも含まれます。ただし、申請に該当するものは、行政手続法上の届出から除かれます。
申請との違い
申請は、許可・認可・免許など、自分に利益を付与する処分を求める行為で、行政庁には許可するか拒否するかといった諾否の応答義務があります。一方、届出は一定の事項を通知する手続であり、行政庁の諾否の応答義務はありません。
届出はいつ完了するのか
行政手続法37条の基本ルール
行政手続法37条では、次の要件を満たす届出について、法令により届出先とされている機関の事務所に到達した時点で、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとしています。
- 届出書の記載事項に不備がない
- 必要な添付書類がそろっている
- その他、法令が定める形式上の要件に適合している
- 法令上の届出先とされた機関の事務所に到達している
「受理」や「承認」は原則として必要ない
行政手続法上の届出は、形式的な要件を満たして届出先の事務所に到達すれば、届出先の事務所が受理したかどうかにかかわらず、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされます。
形式的な不備がある場合
記載事項に不備がある場合や添付書類が不足している場合は、行政手続法37条の要件を満たす届出とはいえません。形式的要件を満たさない届出をどのように扱うかについて、行政手続法に一律の処理方法を定めた規定はなく、届出の根拠となる個別法の解釈に委ねられています。
行政手続法37条が適用されない場合
個別法に特別な定めがある場合
行政手続法は、届出に関する一般的なルールを定める法律です。特別法に別の定めがある場合は、その規定が優先されます。
地方公共団体の条例・規則に基づく届出
地方公共団体の機関が行う届出のうち、その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものは、行政手続法の総則と補則の規定を除き、届出に関する規定が適用されません。この場合は、自治体の行政手続条例や個別の条例・規則を確認してください。
行政機関相互間の届出
行政機関相互間の届出は、当該機関または団体が固有の資格において届出の名あて人となるものに限り、行政手続法の適用対象から除かれます。個人や事業者が行政機関に提出する届出とは区別が必要です。
まとめ
行政手続法上の届出は、記載事項や添付書類などの形式的要件を満たし、届出先の機関の事務所に到達した時点で、届出義務が履行されたことになります。原則として、行政機関による受理を待つ必要はありません。ただし、個別法に特別な定めがある場合や、地方公共団体の条例・規則に基づく届出などには、行政手続法37条が適用されないことがあるため、その内容を確認する必要があります。
