行政庁の処分に不服があるときは、行政不服審査法に基づき審査請求を行えます。審査請求について審査庁が示す最終的な判断が「裁決」です。裁決には、基本的に「却下」「棄却」「認容」の3種類があり、違法・不当な処分でも例外的に棄却する「事情裁決」もあります。
行政不服審査における裁決とは
裁決は審査請求に対する最終的な判断
裁決とは、審査請求が適法か、請求人の主張に理由があるかを審査したうえで、審査庁が示す結論です。行政不服審査会などへの諮問が必要な場合は答申を受けた後、諮問が不要な場合は審理員意見書の提出後に、審査庁が遅滞なく裁決を行います。
裁決は、主文、事案の概要、審理関係人の主張の要旨、理由などを記載した裁決書によって行われます。主文が審理員意見書や答申書と異なる場合は、その理由も記載されます。
裁決の効力が生じる時期と拘束力
裁決は、審査請求人などに送達された時点で効力が生じます。また、裁決は関係行政庁を拘束します。同一の事実関係において、同一の理由により、同一の処分をすることはできません。ただし、別の理由で同じ処分をすることは可能です。
却下・棄却・認容の違い
却下裁決|審査請求が不適法な場合
却下は、審査請求が不適法な場合の裁決です。たとえば、法定の請求期間を過ぎている場合などが該当します。請求の内容を実質的に判断する前に、「適法な審査請求ではない」として手続を終了させる点が特徴です。
棄却裁決|審査請求に理由がない場合
棄却は、審査請求に理由がない場合の裁決です。この場合、対象となった行政処分は正当・適法なものとして維持されます。却下が手続上の問題による判断であるのに対し、棄却は内容を検討した結果、理由がないと判断するものです。
認容裁決|審査請求に理由がある場合
認容は、審査請求に理由がある場合の裁決です。対象となった処分の全部または一部を取り消し、または変更します。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁でも処分庁自身でもない場合、処分を変更することはできません。
法令に基づく申請を却下・棄却する処分を取り消す場合に、申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、上級行政庁である審査庁が処分庁に一定の処分をするよう命じたり、処分庁自身である審査庁が一定の処分をしたりします。また、認容裁決でも、請求人に不利益となるよう処分を変更することはできません。
裁決の種類を判断するときの注意点
「処分」と「不作為」では認容裁決の内容が異なる
行政庁が申請に対して相当な期間が経過するまで処分をしない「不作為」についても、却下・棄却・認容の裁決があります。不作為に対する認容裁決では、不作為が違法または不当であると宣言します。そのうえで、上級行政庁である審査庁は不作為庁に一定の処分を命じ、不作為庁自身が審査庁であれば自ら処分を行います。
違法・不当でも棄却される「事情裁決」
例外として、処分が違法または不当でも、取り消すことで公共の利益に著しい障害が生じる場合には、審査請求を棄却できることがあります。これを事情裁決といいます。ただし、裁決書の主文では、その処分が違法または不当であることを宣言しなければなりません。つまり、「問題はあるが、公共の福祉のため取り消さない」という例外的な棄却です。
3種類の違いを一覧で整理
| 裁決の種類 | 審査請求の状態 | 処分の扱い |
|---|---|---|
| 却下 | 不適法 | 内容を実質判断せず終了 |
| 棄却 | 適法だが理由がない | 処分を維持 |
| 認容 | 適法で理由がある | 処分を取り消し・変更 |
ただし、事情裁決では、処分に違法・不当な点があっても例外的に棄却される点に注意が必要です。
まとめ
裁決は、審査庁が審査請求に対して行う最終的な判断です。却下は請求が不適法な場合、棄却は請求に理由がない場合、認容は請求に理由があり処分を取り消し・変更する場合を指します。なお、違法・不当な処分でも、公共の利益への影響から取り消されない事情裁決という例外があります。
