無効等確認の訴えで準用される取消訴訟の規定とは?行政事件訴訟法38条を解説

行政事件訴訟法38条は、無効等確認の訴えについて、取消訴訟に関する規定の一部を準用すると定めています。ただし、取消訴訟の規定がすべて適用されるわけではありません。38条1項・2項・3項で、準用される範囲が異なります。

無効等確認の訴えと行政事件訴訟法38条の関係

無効等確認の訴えとは

無効等確認の訴えとは、行政庁の処分や裁決について、その存在・不存在や効力の有無の確認を求める訴訟です(行政事件訴訟法3条4項)。実務上は、重大かつ明白な瑕疵がある処分について、無効であることの確認を求めるケースが代表的です。

取消訴訟とは別の訴訟類型ですが、訴訟手続などについて、取消訴訟の規定が準用されます。なお、無効等確認の訴えには出訴期間の定めがなく、審査請求前置主義も適用されません。

行政事件訴訟法38条1項で準用される取消訴訟の規定

抗告訴訟全般に準用される主な規定

条文 準用される内容
11条 被告適格等
12条 管轄
13条、16条~19条 関連請求に係る訴訟の移送・請求の併合
21条 訴えの変更
22条・23条 第三者・行政庁の訴訟参加
24条 職権証拠調べ
33条 判決の拘束力
35条 訴訟費用の裁判の効力

38条1項で準用されない主な規定

  • 9条(原告適格)
  • 10条1項(法律上の利益に関係のない違法の主張の制限)
  • 14条(出訴期間)
  • 15条(被告を誤った場合の救済)
  • 30条(裁量処分の取消し)
  • 31条(事情判決)
  • 32条1項(取消判決の第三者効)

特に重要なのは、取消訴訟の出訴期間に関する14条が準用されない点です。また、原告適格は9条ではなく、無効等確認の訴えについて定める36条によって判断されます。36条では、①処分や裁決に続く処分によって損害を受けるおそれのある者、②その他、処分または裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、③現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない場合に限り、原告適格が認められます。

処分の取消しの訴えと審査請求との関係を定める8条も準用されません。

無効等確認の訴えに個別に準用される規定

38条2項で準用される規定

10条2項(原処分主義)は、処分の無効等確認の訴えと、その処分についての審査請求を棄却した裁決に関する抗告訴訟を提起できる場合に準用されます。

20条(請求の追加的併合の特則)は、処分の無効等確認の訴えを、その処分に対する審査請求を棄却した裁決に関する抗告訴訟へ併合して提起する場合に準用されます。

38条3項で準用される規定

  • 23条の2(釈明処分の特則)
  • 25条~29条(執行停止)
  • 32条2項(執行停止決定等に関する第三者効)

無効等確認の訴えで準用される規定のポイント

行政事件訴訟法38条1項では、被告適格、管轄、訴えの変更、訴訟参加、証拠調べ、判決の拘束力などが準用されます。一方、出訴期間や取消判決の第三者効などは準用されません。

さらに、38条2項では原処分主義と請求の追加的併合、3項では釈明処分、執行停止、執行停止決定等の第三者効が準用されます。したがって、無効等確認の訴えでは、38条1項・2項・3項を分けて確認することが重要です。