運送品の破損・延着では、原則として運送人が責任を負う
商法上の「運送人」とは
商法上の運送人とは、陸上・海上・航空運送を業として引き受ける者です。運送人が荷送人から荷物を受け取り、荷受人に届けることを約束し、荷送人が運送賃を支払うことで物品運送契約が成立します。
運送人が損害賠償責任を負うケース
運送品を受け取ってから荷受人に引き渡すまでの間に、次のような事態が生じた場合、運送人は、それによって生じた損害を賠償するのが原則です(商法575条)。
- 運送品が滅失した
- 運送品が損傷・破損した
- 滅失・損傷の原因が生じた
- 運送品が延着した
運送人が責任を免れるための条件
もっとも、破損や延着があれば必ず運送人が責任を負うわけではありません。運送人が、運送品の受け取り・運送・保管・引渡しについて注意を怠らなかったことを証明すれば、責任を免れることがあります。
高価品は、種類と価額を知らせないと原則として責任を問えない
高価品に当たる運送品
貨幣、有価証券その他の高価品には、通常の運送品とは異なる特則があります。
高価品について運送人が責任を負う原則
荷送人が運送を依頼する際に、高価品の種類と価額を運送人へ通知していれば、滅失・損傷・延着について、運送人の責任が問題となります。
一方、種類と価額を通知していなければ、高価品の滅失・損傷・延着について、運送人は原則として損害賠償責任を負いません(商法577条1項)。
通知がなくても運送人が責任を負う例外
ただし、次の場合は免責されません(商法577条2項)。
- 物品運送契約の締結時に、運送人がその運送品が高価品であることを知っていた場合
- 運送人の故意または重大な過失によって、滅失・損傷・延着が生じた場合
高価品の特則は不法行為による損害賠償にも及ぶ
高価品に関する免責規定は、運送品の滅失などについての運送人の荷送人または荷受人に対する不法行為による損害賠償責任にも準用されます(商法587条本文)。そのため、商法577条により運送人が免責される場合、不法行為による損害賠償責任も原則として免除されます。
ただし、荷受人があらかじめ荷送人の委託による運送を拒んでいたにもかかわらず、運送人が荷送人から運送を引き受けた場合は、荷受人に対する責任について免責されません(商法587条ただし書)。
まとめ
- 運送品が受取から引渡しまでに破損・滅失・延着した場合、運送人は原則として責任を負う
- 運送人が必要な注意を怠らなかったと証明すれば、責任を免れることがある
- 高価品は、種類と価額を通知していなければ、原則として運送人の責任を問えない
- 運送人が契約締結時に高価品だと知っていた場合や、故意・重大な過失がある場合は免責されない
