定款の相対的記載事項と任意的記載事項の違いとは?変態設立事項も解説

定款には、必ず記載しなければならない事項のほか、記載しなければ効力が生じない事項や、会社のルールとして固定するために記載する事項があります。相対的記載事項と任意的記載事項は、どちらも定款に記載できますが、記載しなかった場合の効果が異なります。ここでは両者の違いと、相対的記載事項に含まれる変態設立事項を解説します。

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定款の相対的記載事項と任意的記載事項の違い

相対的記載事項とは

相対的記載事項とは、定款に記載がなくても定款全体が無効になるわけではないものの、その事項についての効力が生じない事項です。会社法上の特別な定めを有効にするには、定款への記載が必要です。

代表例は、後述する変態設立事項や、株式の譲渡に会社の承認を必要とする株式譲渡制限の定めです。

任意的記載事項とは

任意的記載事項は、定款に記載しなくても、そのつど株式会社が決めることができる事項です。ただし、定款に記載しておくことで、定款変更をしなければ変更できないという、一定の強制力を持たせることができます。

例として、事業年度、会社が公告をする方法、株主総会の議長、取締役の人数などがあります。

両者の違い

比較項目 相対的記載事項 任意的記載事項
記載がない場合 その事項の効力が生じない 会社がそのつど決定できる
記載する意味 特別な定めに効力を持たせる 会社のルールとして固定する
主な例 変態設立事項、株式譲渡制限 事業年度、公告方法など

つまり、「記載しなければ効力が生じない」のが相対的記載事項であり、「記載しなくても決められるが、記載すると定款変更をしなければ変更できない」のが任意的記載事項です。なお、絶対的記載事項は、記載を欠くと定款自体が無効となる事項です。

相対的記載事項に含まれる変態設立事項とは

変態設立事項の意味

変態設立事項とは、評価を誤ると会社の財産的基礎を危うくするおそれのある危険な約束をいいます。これらは相対的記載事項なので、定款に記載しなければ効力が生じません。

4種類の変態設立事項

種類 定款に記載する事項
現物出資 金銭以外の財産を出資する者の氏名・名称、財産およびその価額、その者に対して割り当てる設立時発行株式の数(種類株式発行会社の場合は、設立時発行株式の種類および種類ごとの数)
財産引受け 会社成立後に譲り受ける財産、その価額、譲渡人の氏名・名称
発起人が受ける特別の利益 発起人が受ける報酬その他の特別の利益と、その発起人の氏名・名称
設立費用 会社が負担する設立に関する費用(定款の認証手数料その他、株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く)

現物出資の目的となる財産は、動産、不動産、有価証券その他の財産権で、金銭価値として評価されます。また、会社設立時に現物出資できるのは発起人に限られます。定款に必要事項を記載しなければ、変態設立事項としての効力は生じません。

変態設立事項に関する確認手続

定款に変態設立事項を定めた場合、原則として発起人は裁判所に検査役の選任を申し立て、当該事項について調査を受けなければなりません。もっとも、次の場合は検査役の調査を省略できます。

  • 定款に記載された現物出資財産などの総額が500万円を超えない場合
  • 市場価格のある有価証券について、定款に記載された価額が市場価格を超えない場合
  • 現物出資財産などについて、定款に記載された価額が相当であることについて、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法人事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明を受けた場合(不動産は、その証明に加えて不動産鑑定士の鑑定評価が必要)

定款に記載する際のポイント

相対的記載事項は、該当する定めを記載しなければ効力が生じません。特に変態設立事項は、「現物出資をする」と書くだけでは足りず、法律上必要な財産の内容や価額などを具体的に記載する必要があります。

一方、任意的記載事項は記載しなくても決定できますが、記載した事項を変更するには定款変更が必要です。両者は、単に「定款に書くかどうか」ではなく、記載しない場合にどのような法的効果が生じるかで区別しましょう。

まとめ

  • 相対的記載事項は、定款に記載しなければ、その事項の効力が生じない。
  • 任意的記載事項は、記載しなくても会社が決定できるが、記載すると定款変更をしなければ変更できない。
  • 変態設立事項は、現物出資、財産引受け、発起人の特別の利益、設立費用の4種類である。
  • 変態設立事項には、原則として検査役による調査が必要だが、一定の例外がある。