会社分割では、原則として当事会社の株主総会で特別決議による承認を受けなければなりません。ただし、移転する事業の規模が小さい場合や、当事会社間に強い支配関係がある場合には、株主総会を省略できる制度があります。
会社分割では株主総会の承認が原則として必要
会社分割とは
会社分割とは、会社が事業に関する権利義務の全部または一部を、他の会社や新しく設立する会社へ承継させる手続です。既存の会社に承継させるものを吸収分割、新設会社に承継させるものを新設分割といいます。
株主総会の承認が必要となる会社
吸収分割では、原則として分割会社と承継会社の双方で、株主総会の特別決議が必要です。新設分割では、原則として分割会社の株主総会で承認を受けます。
もっとも、次の簡易分割または略式分割の要件を満たす場合は、対象となる会社の株主総会を省略できます。
簡易分割とは?会社への影響が小さい場合に株主総会を省略できる制度
簡易吸収分割における分割会社側の要件
吸収分割によって承継会社へ移転する資産の合計額が、分割会社の総資産額の5分の1を超えない場合、原則として分割会社の株主総会の承認は不要です。
簡易吸収分割における承継会社側の要件
分割会社に交付する金銭などの分割対価が、承継会社の純資産額の5分の1を超えない場合、原則として承継会社の株主総会の承認は不要です。
この2つの要件は別々に判断します。したがって、分割会社では株主総会が不要でも、承継会社では必要となる場合があります。
簡易新設分割の要件
新設会社へ移転する資産の合計額が、分割会社の総資産額の5分の1を超えない場合、原則として分割会社の株主総会の承認は不要です。
略式分割とは?支配関係がある場合の手続
略式吸収分割の要件
吸収分割の当事会社の一方が、他方の議決権の10分の9以上を有する特別支配会社である場合、原則として、支配されている会社の株主総会の承認を省略できます。
略式分割は、移転する資産や対価の規模が小さいことを理由とする制度ではありません。当事会社間に議決権を通じた支配関係があることを理由に、株主総会を省略する制度です。
簡易分割と略式分割の違い
- 簡易分割:移転する資産や交付する対価が、基準額である5分の1を超えないことが要件
- 略式分割:一方の会社が他方の議決権の10分の9以上を有していることが要件
つまり、簡易分割は「移転する資産や交付する対価の規模」、略式分割は「会社間の支配関係」に着目した制度です。
