事業を始めるとき、「好きな名前を商号にできるのか」と迷うことがあります。商号は、法律上のルールを守る限り、商人や会社が原則として自由に選べます。ただし、会社の種類を示す文字を入れることや、他人の事業と誤認される名称を避けることなど、一定の制限があります。
ここでは、商号自由の原則の意味と、商号を決める際に確認したい基本ルールを説明します。
商号自由の原則とは
商号とは
商号とは、商人や会社が営業上、自分を表示するために使う名称です。個人商人が事業で使う名称や、会社名が商号にあたります。
商号は「名称」なので、呼称できない図形や記号だけを商号にすることはできません。一方、日本語の文字だけでなく、ローマ字や数字も使用できます。語句を区切る中点、アンパサンド、ハイフンなどの記号も利用できます。
原則として商号を自由に選べる
商人や会社は、法律上の条件に反しない限り、商号を自由に決められます。
ただし、これは完全に自由という意味ではありません。会社の種類や他人との誤認防止などに関するルールを守る必要があります。
商号を決めるときに守る4つのルール
会社は会社の種類を示す文字を入れる
会社は、商号の中に、その種類に応じて「株式会社」「合名会社」「合資会社」または「合同会社」という文字を使わなければなりません(会社法6条)。
会社でない商人は会社と誤認される表示を使えない
会社でない者は、その名称や商号に、会社であると誤認されるおそれのある文字を使ってはなりません(会社法7条)。
商号単一の原則に注意する
会社は複数の事業を営んでいても、商号を1つしか持てません。これに対し、個人商人は複数の営業を営む場合、それぞれの営業について別の商号を使えます。ただし、1つの営業について複数の商号を使うことはできません。
他人の商号と誤認させる名称を使わない
何人も、不正の目的で、他の会社や商人であると誤認されるおそれのある名称・商号を使ってはなりません(商法12条1項、会社法8条1項)。
商号自由の原則は「法律の範囲内で自由」という意味
商号自由の原則とは、商人や会社が、法律上のルールを守る限り商号を原則として自由に選べるという考え方です。商号を決める際は、次の点を確認しましょう。
- 呼称できる名称になっているか
- 会社の種類を示す文字を用いているか
- 会社でない商人が会社と誤認される表示を使っていないか
- 商号単一の原則に反していないか
- 他人の商号と誤認させる名称を不正の目的で使っていないか
まとめ
商号自由の原則は、法律の範囲内で、商人や会社が商号を原則として自由に選べるというものです。ただし、会社の種類を示す文字、会社と誤認される表示の禁止、商号単一の原則、他人の商号と誤認させる名称の禁止には注意が必要です。「自由に決められるが、完全に自由ではない」と理解しておきましょう。
