夫婦同氏制は違憲?憲法14条との関係を最高裁判例で解説

夫婦同氏制とは、婚姻する夫婦が同じ氏を名乗る制度です。夫婦の一方の氏を選ぶ仕組みが、憲法14条1項の「法の下の平等」に反しないかが問題となりました。

最高裁判所は、2015年(平成27年)12月16日の大法廷判決で、夫婦同氏制を定める民法750条は、憲法14条1項に違反しないと判断しています。

夫婦同氏制と憲法14条の関係

夫婦同氏制とは

民法750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定めています。つまり、婚姻する夫婦は、夫の氏または妻の氏のどちらかを選択します。

条文上は、夫の氏を選ぶ場合だけでなく、妻の氏を選ぶ場合も認められています。

憲法14条の「法の下の平等」とは

憲法14条1項は、法の下の平等を保障しています。ただし、ここでいう平等は、すべての人を常に同じように扱うという意味ではありません。事実上の違いを前提に、合理的な理由のない差別をしないことを求める相対的な平等です。

そのため、法律上の扱いに違いがあっても、合理的な理由があれば、直ちに憲法違反となるわけではありません。また、憲法14条に挙げられている性別などの事由だけでなく、列挙されていない区別も、不合理であれば問題となり得ます。

最高裁判例は夫婦同氏制を合憲と判断した

事件で問題となったこと

民法750条が、夫婦の氏を同一にすることを定めている点について、憲法14条1項違反ではないかが争われました。実際には夫の氏を選ぶ夫婦が圧倒的に多いため、結果として女性が氏を変更することになりやすく、男女間の不平等ではないかという点が問題となりました。

最高裁の判断

最高裁大法廷は、2015年12月16日、夫婦同氏制は憲法14条1項に違反しないと判断しました。

その理由は、民法750条が、夫婦のどちらの氏を称するかを、婚姻する当事者同士の協議に委ねているためです。法律が、男性の氏を選ぶよう一方的に定めているわけではないとされました。

最高裁が憲法14条違反ではないとした理由

最高裁は、条文の内容自体に、男性を優遇し女性を不利益に扱うという性別による法的な区別はないと判断しました。夫の氏を選ぶ夫婦が多数であるという社会的な結果があっても、その結果だけから、民法750条そのものが性別による差別を定めているとはいえないとしています。

したがって、最高裁判例上、夫婦同氏制は、憲法14条との関係では合憲です。

まとめ:夫婦同氏制は憲法14条に違反するのか

最高裁は、夫婦同氏制を定める民法750条について、憲法14条1項に違反しないと判断しました。条文上、夫婦のどちらの氏を称するかは当事者間の協議に委ねられており、法律が性別を理由に一方の氏を選ばせる仕組みではないためです。

夫の氏を選ぶ夫婦が多いという実態はあるものの、それだけで制度自体が不合理な男女差別を定めているとはいえない、というのが最高裁の結論です。