昭和女子大事件は、私立大学が、大学の教育方針や学内規則に反した学生を処分できるかが問題となった事件です。私立大学の自主性と、学生の思想・表現などの自由がどのように関係するのかを示した判例として重要です。
昭和女子大事件とは
事件の概要
私立大学の学生が学内で政治的活動を行ったところ、大学は、その行為が大学の「生活要録」に違反すると判断しました。そして、学生に自宅謹慎を申し渡した後、退学処分を行いました。
これに対し学生は、自分が大学に在籍する身分を有することの確認を求めて裁判を起こしました。
事件で問題となったこと
主な争点は、憲法19条の思想・良心の自由、21条の表現の自由、23条の学問の自由などが、私立大学と学生との関係に直接適用されるかという点です。
また、私立大学が建学の精神や校風、教育方針を理由として、学則などで学生の行動を規律できるかも問題となりました。
最高裁判所が示した判断
自由権は私立大学との関係に当然には直接適用されない
最高裁判所は、憲法19条・21条・23条などの自由権的基本権は、国や公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由や平等を保障するための規定だとしました。
そのため、私人である私立大学と学生との関係に、これらの規定が当然に直接適用ないし類推適用されるわけではありません。
私立大学には教育方針に基づく規律が認められる
私立大学は、建学の精神、独自の伝統、校風、教育方針によって、その大学としての社会的存在意義を持っています。大学は、これらを学則などに具体化し、実践することが当然認められるべきです。
学生も、その教育方針のもとで学ぶことを希望して入学するため、在学中は、大学の伝統や校風、教育方針に基づく規律に従う義務を負うと判断されました。
昭和女子大事件からわかる私立大学の校則と学生の人権
校則は教育方針と結びついている
私立大学の校則や学則は、建学の精神や校風、教育方針を具体化し、実践するための規範として設けられる場合があります。
学生の人権が否定されたわけではない
この判決は、学生には人権がないとしたものではありません。示されたのは、憲法上の自由権的基本権が、私立大学と学生との関係に当然に直接適用ないし類推適用されるわけではないという点です。
学生は、当該大学において教育を受けるかぎり、その大学の伝統や校風、教育方針に基づく規律に従うことを義務づけられるとされました。
国公立大学とは整理が異なる
私立大学は私人であるため、国や公共団体との関係を規律する憲法上の自由権の適用について、国公立大学とは異なる整理が必要です。
まとめ
昭和女子大事件は、私立大学の自主性と、学生の人権との関係を示した判例です。最高裁は、憲法19条・21条・23条などの自由権的基本権は、私立大学と学生との関係に当然に直接適用ないし類推適用されないとしました。
その一方で、学生の人権そのものを否定したわけではありません。私立大学には、建学の精神や教育方針を学則などに反映させ、学生にその規律を守るよう求めることが認められると判断されたのです。
