顕名なしの代理行為はどうなる?本人に効果が帰属するケースを解説

代理人が本人に代わって法律行為をするときは、通常、本人のために行為することを相手方に示す必要があります。この表示を顕名といいます。

では、顕名をしないまま法律行為をした場合、その効果は本人に帰属するのでしょうか。原則と例外を整理して説明します。

顕名なしの代理行為は原則として代理人自身の行為になる

代理行為で必要とされる「顕名」とは

顕名とは、代理人が本人のために法律行為をしていることを相手方に示すことです。代理行為の効果を本人に直接帰属させるには、原則として次の2つが必要です。

  • 代理人に代理権があること
  • 本人のためにすることを示すこと(顕名)

たとえば、「A代理人B」のように表示することが顕名にあたります。これは、Aの代理人としてBが行為することを示す表示です。

顕名をしなかった場合の原則

代理人が本人のためにすることを示さずに意思表示をした場合、その行為は代理人自身のためにしたものとみなされます(民法100条本文)。

相手方から見ると、代理人が本人のために行為していることが示されていなければ、代理人自身が当事者であると考えるのが通常だからです。したがって、原則として契約の効果は本人ではなく代理人に帰属し、代理人と相手方との間に契約が成立します。

相手方が本人のための行為だと知っていれば本人に効果が帰属する

顕名がなくても本人に効果が帰属する例外

もっとも、顕名がない場合でも、相手方が代理人が本人のために行為していることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接効力が生じます(民法100条ただし書)。

  • 相手方が本人のための行為だと知っていた場合(悪意)
  • 相手方が本人のための行為だと知ることができた場合(有過失)

たとえば、Aから土地売買の代理権を与えられたBが、本人Aのためにすることを示さずにCと契約を締結した場合でも、CがBがAのために行為していることを知り、又は知ることができたときは、AとCとの間に売買契約が成立します。

例外に該当した場合の効果

例外に該当すると、契約の効果は代理人ではなく本人に帰属します。判断のポイントは、相手方が本人のための行為だと知っていたか、または知ることができたかです。

顕名なしの代理行為を判断するポイント

状況 効果の帰属
顕名がなく、相手方が本人のための行為だと知らず、知らないことにも過失がない 代理人自身に帰属
顕名がなくても、相手方が本人のための行為だと知っていた 本人に帰属
顕名がなくても、相手方が本人のための行為だと知ることができた 本人に帰属

なお、本人に効果を帰属させるには、前提として代理人に代理権があることも必要です。

まとめ

  • 代理行為では、本人のためにすることを示す顕名が原則として必要です。
  • 顕名がない意思表示は、原則として代理人自身のためにしたものとみなされます。
  • ただし、相手方が本人のための行為だと知っていた場合や、知ることができた場合は例外です。
  • この場合、顕名がなくても契約の効果は本人に直接帰属します。