抵当権の効力が及ぶ範囲とは?従物・付加一体物・借地権を解説

抵当権の効力は、抵当不動産そのものだけに限られません。抵当不動産に付加して一体となった物や、抵当権設定当時から存在した従物、抵当不動産の従たる権利にも及びます(民法370条)。一方、土地と建物のように別個の不動産には、原則として互いの抵当権の効力は及びません。

抵当権の効力が及ぶ範囲の基本

抵当不動産と一体化した物や従物に及ぶ

抵当権は、抵当不動産に付加されて一体となった物に及びます。また、抵当権設定当時から存在する抵当不動産の従物や、抵当不動産の従たる権利にも効力が及びます(民法370条)。

たとえば、付加一体物として抵当建物の増築部分が、従物として抵当建物に隣接する物置小屋が挙げられます。従物については、抵当不動産とは別に対抗要件を備える必要はありません。

土地と建物は別々に扱われる

土地と建物は、それぞれ別個の不動産です。そのため、土地に設定した抵当権の効力は、原則として土地上の建物には及びません。反対に、建物に設定した抵当権の効力も、その建物が建っている土地には及びません。

抵当権の範囲を確認するときは、まず土地と建物のどちらが抵当権の対象かを確認する必要があります。

付加一体物と従物に及ぶ抵当権の効力

付加一体物とは

付加一体物とは、抵当不動産に付加されて一体となった物をいいます。たとえば、抵当建物の増築部分などです。不動産と一体となっているため、抵当権の効力が及びます。

従物とは

従物とは、主たる物とは別個に存在するものの、その利用や効用に関係する物です。抵当権設定当時から存在する従物には、抵当権の効力が及びます。

たとえば、抵当建物に隣接する物置小屋が従物に当たる場合があります。従物については、抵当不動産とは別に対抗要件を備えなくても、抵当権の効力が及びます。

付加一体物と従物の違い

  • 付加一体物:抵当不動産に付加され、不動産と一体となった物
  • 従物:抵当不動産とは別個に存在するものの、その利用や効用に関係する物

特に従物では、抵当権設定当時から存在していたことが重要です。

借地権などの従たる権利に及ぶ抵当権の効力

建物に設定した抵当権は借地権にも及ぶ

借地人が借地上の自己所有建物に抵当権を設定した場合、借地権は建物の従たる権利として扱われます。そのため、特段の事情がない限り、建物に設定された抵当権の効力は借地権にも及びます。

抵当不動産から生じる果実への効力

抵当不動産の使用収益権は設定者に留保されているため、被担保債権について債務不履行がない限り、抵当不動産から生じる果実には抵当権の効力は及びません(民法371条)。

したがって、抵当不動産であるアパートから生じる家賃などの賃料債権についても、債務不履行がない限り、抵当権の効力は及びません。債務不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に抵当権の効力が及びます。

判断するポイント

  • 抵当権の対象が土地か建物か
  • 物が抵当不動産に付加され、一体となっているか
  • 従物が抵当権設定当時から存在していたか
  • 借地権などが抵当不動産の従たる権利に当たるか
  • 抵当不動産から生じる果実について債務不履行があるか