同じ不動産に複数の抵当権が設定されている場合、抵当権者同士の合意によって、その順位を変更できることがあります。これを抵当権の順位変更といいます。
ただし、抵当権者が合意するだけでは足りません。一定の利害関係人の承諾に加え、順位変更の登記も必要です。ここでは、抵当権の順位変更の意味、成立要件、登記の効力を説明します。
抵当権の順位変更とは
複数の抵当権の順位を変更すること
抵当権の順位変更とは、同じ不動産に設定された複数の抵当権について、抵当権者の合意により、抵当権の順位を変更することです。民法374条1項に定められています。
抵当権には、通常、1番、2番という順位が付いています。順位変更が行われると、抵当権を実行した場合の優先弁済を受ける順番も変わります。
例えば、マンションに、東都銀行の1番抵当権、北辰信用金庫の2番抵当権、中央ファイナンスの3番抵当権が設定されているとします。3者が合意すれば、中央ファイナンスを1番、東都銀行を2番、北辰信用金庫を3番とするように、順位を組み替えることができます。
これは、単に1番抵当権を譲渡したり放棄したりする制度ではありません。複数の抵当権の順位そのものを変更する点に特徴があります。
抵当権の順位変更に必要な要件
抵当権者同士の合意
順位変更をするには、変更の対象となる抵当権者の合意が必要です。どの抵当権を何番にするのかを、関係する抵当権者の間で決めます。
不動産の所有者や抵当権設定者の承諾は必要ありません。順位変更は、抵当権者間の順位を変更する手続だからです。
利害関係人の承諾
もっとも、順位変更によって後順位となる抵当権を目的とする転抵当権者など、利害関係人がいる場合は、その承諾が必要です。
したがって、抵当権者同士の合意だけで手続を進めるのではなく、順位変更によって後順位となる抵当権に転抵当権などが設定されていないかを確認する必要があります。
順位変更の登記の効力
登記は効力発生要件
抵当権の順位変更は、合意しただけでは効力が生じません。合意した内容について、順位変更の登記をする必要があります。登記が完了して初めて、変更後の順位が法律上の効力を持ちます。
対抗要件ではない点に注意
この登記は、第三者に対して主張するためだけの対抗要件ではありません。登記がなければ、当事者間でも順位変更の効力自体が発生しない点が重要です。
つまり、「抵当権者間で合意はできているものの、登記が済んでいないため、まだ順位は変更されていない」という状態があり得ます。
まとめ
- 抵当権の順位変更とは、同じ不動産に設定された複数の抵当権の順位を変更すること
- 変更の対象となる抵当権者の合意が必要
- 不動産の所有者や抵当権設定者の承諾は必要ない
- 後順位となる抵当権を目的とする転抵当権者など、利害関係人がいる場合は、その承諾も必要
- 順位変更の登記をしなければ、変更の効力は生じない
- 登記は単なる対抗要件ではなく、効力発生要件である
