抵当権は、一定の場合に時効によって消滅します。ただし、誰との関係で時効消滅するのかによってルールが異なります。
債務者や抵当権設定者との関係では、抵当権だけが被担保債権より先に時効消滅することはありません。一方、それ以外の者との関係では、抵当権について20年の消滅時効が問題になります。
抵当権は時効によって消滅する
被担保債権が消滅すると抵当権も消滅する
抵当権が担保する債権を被担保債権といいます。
被担保債権が消滅すると、抵当権も付従性によって消滅します。これとは別に、抵当権自体が時効によって消滅する場合もあります。
時効消滅では「誰との関係か」が重要
同じ抵当権でも、債務者・抵当権設定者との関係なのか、それ以外の者との関係なのかによって、適用されるルールが変わります。
債務者・抵当権設定者との関係では抵当権だけで時効消滅しない
被担保債権と同時でなければ時効消滅しない
民法396条は、抵当権について、債務者および抵当権設定者との関係では、担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しないと定めています。
そのため、被担保債権が残っているにもかかわらず、抵当権だけが先に時効消滅することはありません。
それ以外の者との関係では抵当権は20年の消滅時効にかかる
債務者および抵当権設定者以外の者との関係では、抵当権は20年の消滅時効にかかります。
| 相手方 | 抵当権の時効消滅 |
|---|---|
| 債務者・抵当権設定者 | 被担保債権と同時でなければ時効消滅しない |
| それ以外の者 | 20年の消滅時効にかかる |
したがって、「抵当権は一律に20年で消える」と考えるのは正確ではありません。誰に対して時効を問題にするのかが重要です。
抵当不動産を第三者が時効取得すると抵当権は消滅する
債務者・抵当権設定者以外の者が、抵当権の目的となっている不動産を時効取得した場合、抵当権は消滅します(民法397条)。
これは、抵当権自体が20年の消滅時効にかかる場合とは異なり、第三者による抵当不動産の時効取得によって抵当権が消滅する場面です。
まとめ
- 抵当権は、一定の場合に時効によって消滅します。
- 債務者・抵当権設定者との関係では、抵当権は被担保債権と同時でなければ時効消滅しません。
- それ以外の者との関係では、20年の消滅時効にかかります。
- 第三者が抵当不動産を時効取得した場合にも、抵当権は消滅します。
抵当権の消滅時効を判断するときは、誰との関係か、そして何が時効の対象なのかを分けて考えることが大切です。
