債務不履行やこれによる損害の発生・拡大について債権者にも過失があると、裁判所はその過失を考慮して、債務者の損害賠償責任や賠償額を定めます。これを過失相殺といいます。
債務不履行における過失相殺とは
過失相殺の意味
民法418条は、債務不履行またはこれによる損害の発生・拡大に関して債権者に過失があったとき、裁判所がこれを考慮して、損害賠償の責任およびその額を定めるとしています。公平の観点から、債権者側の過失を損害賠償に反映させる制度です。
過失相殺が問題となる3つの場面
- 債務不履行そのものについて、債権者に過失がある場合
- 債務不履行による損害の発生について、債権者に過失がある場合
- 発生した損害の拡大について、債権者に過失がある場合
例えば、Aが錦鯉の養殖業者Bから錦鯉を購入したところ、Bが病気の錦鯉を引き渡したため、Aの所有する他の錦鯉に伝染し、水槽のすべての錦鯉が死んでしまったとします。この場合、Aにも水槽の管理に過失があれば、裁判所はその過失を考慮します。
過失相殺によって損害賠償額はどのように減額されるか
裁判所は債権者の過失を考慮しなければならない
債務不履行における過失相殺では、裁判所は債権者の過失を考慮しなければなりません。例えば、AとBの過失の割合が、Aが2、Bが8と認定され、損害額が100万円である場合、損害賠償額は80万円となります。
債権者の過失の程度によっては、債務者の損害賠償責任が免除されることもあります。
債務不履行と不法行為の過失相殺の違い
債務不履行では、民法418条により、裁判所は債権者の過失を考慮しなければなりません。また、債務者の責任を免除することもできます。
これに対し、不法行為では、民法722条2項により、裁判所は被害者の過失を考慮することができるとされています。過失を考慮するかどうかは裁判所の判断に委ねられ、加害者の責任を免除することはできません。このように、債務不履行と不法行為では、過失相殺の扱いが異なります。
まとめ
債務不履行における過失相殺とは、債務不履行や損害の発生・拡大について債権者に過失がある場合に、裁判所がそれを考慮して、債務者の損害賠償責任や賠償額を定める制度です。債務不履行では裁判所による考慮が必要であり、場合によっては債務者の責任が免除されることもあります。不法行為の場合とは、過失を考慮するかどうかや責任免除の可否が異なります。
