賃貸人が賃貸借契約を終了させる方法には、「解除」と「解約」があります。ただし、賃貸人の判断だけで、いつでも契約を終わらせられるわけではありません。契約違反の有無や契約期間、契約上の定めを確認する必要があります。
賃貸人による「解除」と「解約」の違い
解除とは
解除とは、賃借人の契約違反などを理由に、契約を終了させる方法です。賃貸借契約の解除は、原則として過去にさかのぼらず、解除後の将来に向かって効力が生じます。
解約とは
解約は、解約の申入れによって契約を終わらせる方法です。主に期間の定めがない賃貸借で利用されます。また、期間の定めがある契約でも、賃貸人が期間途中に解約できる権利を留保していれば、解約できる場合があります。
賃貸人が賃貸借契約を解除できる場合
無断で賃借権を譲渡・転貸した場合
賃借人は、賃貸人の承諾なしに、賃借権を他人へ譲ったり、賃借物を第三者に又貸ししたりできません。無断で第三者に使用・収益させた場合、賃貸人は原則として契約を解除できます。
もっとも、無断譲渡・無断転貸があれば必ず解除できるわけではありません。その行為によって賃貸人との信頼関係が壊れたとはいえない特別な事情があるときは、解除が認められないことがあります。
信頼関係を破壊する程度の債務不履行がある場合
賃借人に義務違反があったとしても、それだけで直ちに解除できるわけではありません。義務違反の内容や程度から、当事者間の信頼関係が破壊されたといえることが必要です。
この程度の重大な債務不履行がある場合には、催告(違反を改めるよう求める通知)をせずに解除できることもあります。
賃貸人が賃貸借契約を解約できる場合
期間の定めがない契約で解約を申し入れた場合
期間の定めがない賃貸借では、賃貸人は契約違反がなくても解約を申し入れられます。
期間内の解約権を留保していた場合
期間の定めがある契約でも、賃貸人が期間途中に解約できる権利を留保していれば、解約できます。そのような定めがなければ、期間満了前に賃貸人が一方的に解約することはできません。
賃貸人が解除・解約するときの注意点
適法な転貸借がされている建物では、期間満了や解約申入れによって元の賃貸借を終了させる場合、賃貸人は転借人にその旨を通知しなければ、終了を転借人に対抗できないことがあります。
このように、解除・解約の可否は、契約期間、契約上の定め、賃借人の行為、信頼関係への影響などによって異なります。
まとめ
- 無断譲渡・無断転貸は、原則として解除理由になります。
- 債務不履行を理由とする解除には、信頼関係が破壊されたといえる程度の違反が必要です。
- 期間の定めがない契約では、賃貸人は解約申入れができます。
- 期間の定めがある契約では、期間内の解約権を留保している場合に限り、解約できることがあります。
