使用貸借の損害賠償・費用償還請求はいつまで?期間制限を解説

使用貸借が終了すると、貸主と借主の間で、借用物の損傷や支出した費用をめぐる請求が問題になることがあります。こうした請求には期間制限があり、貸主が借用物の返還を受けた時から1年以内に行わなければなりません。

ここでいう使用貸借とは、無償で物を借り、契約が終了したら返還する契約です。以下では、貸主の損害賠償請求と、借主の費用償還請求について、いつから1年を数えるのかを説明します。

使用貸借の損害賠償・費用償還請求は1年以内に行う

損害賠償請求

借主は、契約で定めた方法や借用物の性質に合った用法に従って使用・収益しなければなりません。これに反する使用・収益によって借用物に損害が生じた場合、貸主は借主に損害賠償を求めることができます。

ただし、この請求は、貸主が借用物の返還を受けた時から1年以内にしなければなりません。返還後に損傷を確認した場合でも、返還日を基準に期間が進む点に注意が必要です。

費用償還請求

借主が借用物のために支出した費用について、すべて貸主へ請求できるわけではありません。通常の必要費は借主が負担しますが、特別の必要費や、借用物の改良などのために支出した有益費については、一定の条件を満たせば償還を求められます。

有益費については、支出による借用物の価格増加が現に残っていることが必要です。その場合、貸主は、支出額と価格の増加額のどちらを償還するか選択できます。費用償還請求も、貸主が借用物の返還を受けた時から1年以内に行う必要があります。

1年の期間は「貸主が返還を受けた時」から始まる

1年の起算点は、使用貸借契約を結んだ日でも、契約が終了した日でもありません。貸主が実際に借用物の返還を受けた時です。損害賠償請求と費用償還請求のいずれにも、同じ起算点が適用されます。

たとえば、契約が先に終了していても、借用物の返還が後日になった場合は、原則として返還を受けた日から1年を数えます。返還日を確認したうえで、損傷の内容や支出した費用の資料を早めに整理することが大切です。

1年が経過するまで損害賠償請求権の時効は完成しない

契約の本旨に反する使用・収益による損害賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまで、時効は完成しません。

もっとも、「1年以内に請求しなければならない」という期間制限と、「一定期間は時効が完成しない」というルールは別の内容です。実際の請求では、期間制限を過ぎていないかをまず確認する必要があります。

まとめ

  • 使用貸借の損害賠償請求は、貸主が返還を受けた時から1年以内に行う
  • 借主の費用償還請求も、返還を受けた時から1年以内に行う
  • 損害賠償請求の時効は、返還を受けた時から1年を経過するまで完成しない

請求できるか判断するには、借用物の返還日、損害が生じた原因、支出した費用の種類と金額を確認しましょう。