自筆証書遺言の要件とは?書き方や無効になるケースを解説

自筆証書遺言は、遺言者本人が作成する遺言です。ただし、遺言は民法で定められた方式に従わなければならず、要件を欠くと無効になる可能性があります。ここでは、自筆証書遺言の基本的な要件、正しい書き方、無効になりやすいケースを解説します。

自筆証書遺言の要件と正しい書き方

本文・日付・氏名を遺言者本人が自書する

原則として、遺言の本文全体、作成した年月日、遺言者の氏名を、遺言者本人が手書きします。カーボン紙を使って複写した場合でも、自書の要件を満たすとされた裁判例があります。

押印する

本文・日付・氏名を自書したうえで、遺言者本人が押印しなければなりません。自書と押印は別々に考えるのではなく、自筆証書遺言を成立させる一体の要件として確認しましょう。

財産目録を添付する場合の例外

相続財産の全部または一部を記載した財産目録を添付する場合、目録自体は手書きでなくても構いません。ただし、目録の各ページに署名・押印が必要です。手書きでない記載が両面にあるページは、表裏それぞれに署名・押印します。

訂正・変更には決められた方式がある

内容を訂正・変更するときは、変更場所を指示し、変更したことを付記し、その付記に署名し、変更箇所に押印する必要があります。これらの方式を満たさなければ、変更の効力は生じません。

2人以上で1通の遺言書を作成しない

夫婦など2人以上の人が、同じ証書に共同して遺言することはできません。自筆証書遺言は、遺言者ごとに単独で作成します。

自筆証書遺言が無効になるケース

全文・日付・氏名のいずれかを本人が自書していない

本文の全部または一部を他人が作成した場合や、氏名を他人が記載した場合は、要件を満たさない可能性があります。また、日付がない場合、「年月」だけで日にちを特定できない場合、「1月吉日」のように作成日を特定できない場合も問題になります。

ただし、財産目録については、前述のとおり、各ページへの署名・押印など一定の要件を満たせば手書きでなくてもよいという例外があります。

押印がない、または財産目録への署名・押印がない

遺言書本体に押印がない場合や、手書きでない財産目録の各ページに署名・押印がない場合は、無効となる可能性があります。両面に記載がある目録では、必要な各面に署名・押印があるか確認します。

訂正・変更の方式を守っていない

訂正箇所の指示、変更した旨の付記、付記への署名、変更箇所への押印のいずれかがない場合、訂正・変更の効力は生じません。

共同遺言になっている

2人以上が同じ証書で遺言した共同遺言は認められません。それぞれが別の自筆証書遺言を作成する必要があります。

作成後に確認しておきたい自筆証書遺言の扱い

作成日と記載内容を最終確認する

作成日が年月日まで特定できるか、本文・氏名の自書と押印がそろっているかを確認します。財産目録を添付する場合は、各ページの署名・押印も確認しましょう。訂正や変更がある場合は、決められた方式を満たしているか点検します。

自筆証書遺言の要件を満たす形で保管する

作成後に内容を書き換えたり訂正したりする場合も、法律上の方式に従わなければなりません。また、複数人が同一の証書に記載しないよう注意が必要です。

まとめ

自筆証書遺言は、原則として遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成します。財産目録は、各ページへの署名・押印など一定の要件を満たせば、手書きでなくても構いません。

日付を特定できない、押印がない、訂正方法が不適切といった場合は、遺言が無効となる可能性があります。また、夫婦などが1通の証書で作成する共同遺言も認められないため、遺言者ごとに別々に作成しましょう。