公営住宅の使用権は相続できる?入居者が死亡した場合の扱いを解説

公営住宅の入居者が亡くなった場合、同居していた家族や相続人は、そのまま住み続けられるのでしょうか。

結論として、公営住宅の使用権は、相続人に当然に引き継がれるものではありません。相続人であることだけを理由に、亡くなった入居者と同じ立場で公営住宅を使用できるわけではないため注意が必要です。

公営住宅の使用権は相続できる?原則として当然には相続できない

相続人が使用権を当然に承継するわけではない

公営住宅の入居者が死亡しても、相続人がその住宅を使用する権利を自動的に取得することはありません。「家族だから」「相続人だから」という理由だけで、入居者と同じ条件で住み続けられるとは限らないのです。

最高裁判所も当然の承継を否定している

最高裁判所は、平成2年10月18日判決で、公営住宅の入居者が死亡した場合、相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると考える余地はないと判断しました。

これは、公営住宅制度の目的や入居者の決定方法を重視した判断です。

なぜ公営住宅の使用権は当然には相続されないのか

住宅に困窮する低額所得者のための制度だから

公営住宅法は、住宅に困っている低額所得者に対し、低廉な家賃で住宅を提供し、国民生活の安定や社会福祉の増進を図ることを目的としています。

入居には条件と選考があるから

公営住宅では、法律や条例などに定められた条件を満たす人の中から、公正な方法で入居者が選ばれます。死亡した入居者の相続人が当然に使用権を取得すると、入居資格の確認や選考を経ずに住宅を使えることになってしまいます。

また、入居後の収入が一定の基準を超えた場合には、明け渡しが問題となることもあります。この点からも、公営住宅の使用関係は、制度上の条件と結び付いているといえます。

入居者が死亡した場合に相続人が注意すべきこと

相続の問題と、その後の使用関係は分けて考える

相続人が使用権を当然に取得できないことと、死亡後に住宅をどのように扱うかは、分けて考える必要があります。実際の取り扱いは、公営住宅法だけでなく、住宅が所在する自治体の条例や入居に関する定めも確認する必要があります。

具体例

たとえば、公営住宅の入居者と同居していた配偶者が、その入居者の死亡後も住み続けたいと考えているとします。この場合でも、配偶者であることだけで使用権を相続したとはいえません。相続人だから住み続けられると判断せず、自治体に制度上の扱いを確認することが大切です。

まとめ

  • 公営住宅の使用権は、入居者が死亡しても相続人に当然には相続されない。
  • 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者を対象とし、入居条件や選考が設けられている。
  • 最高裁判所も、公営住宅の制度目的などを理由に、使用権の当然承継を否定している。
  • 実際の扱いは、相続人であることだけで判断せず、自治体の条例や定めを確認する必要がある。