行政の活動によって損害や財産的損失が生じた場合、救済制度として「国家賠償」や「損失補償」が問題になります。両者の大きな違いは、行政活動が違法か適法かという点です。
国家賠償と損失補償は「国家補償」に含まれる制度
国家補償とは
国家補償とは、行政の活動によって生じた損害や損失について、補償を求める制度です。国家補償は、国家賠償と損失補償に分類されます。
行政活動が違法であれば国家賠償、適法であれば損失補償が問題となります。ただし、損失補償の対象は、財産的な損失です。
最初に押さえるべき違い
- 違法な行政活動によって損害が生じた場合:国家賠償
- 適法な行政活動によって財産的損失が生じた場合:損失補償
国家賠償と損失補償の違いを比較
国家賠償の意味
国家賠償とは、行政機関の違法な活動によって生じた損害を賠償する制度です。
一般法として国家賠償法に規定があります。
損失補償の意味
損失補償とは、法律で認められている適法な行政活動によって生じた財産的損失を補償する制度です。行政活動が適法であるため、国家賠償とは区別されます。
損失補償については、国家賠償法のような一般法は存在しません。
一覧表で整理
| 比較項目 | 国家賠償 | 損失補償 |
|---|---|---|
| 行政活動の適法性 | 違法 | 適法 |
| 対象 | 損害 | 財産的損失 |
| 制度の性質 | 違法な活動による損害の賠償 | 適法な活動による損失の補償 |
| 一般法 | 国家賠償法 | なし |
| 主な根拠 | 国家賠償法 | 個別の法律・憲法29条3項 |
国家賠償と損失補償の法的根拠と注意点
国家賠償の法的根拠
国家賠償には、一般法である国家賠償法があります。行政機関の違法な活動によって生じた損害について賠償を求める場合は、同法が根拠となります。
損失補償の法的根拠
損失補償には、国家賠償法のような一般法はありません。補償について個別の法律に規定があれば、その法律が根拠になります。
判例は、補償規定が個別の法律にない場合には、憲法29条3項に基づいて直接補償を求めることも可能であると判示しています(最大判昭43・11・27)。
