取消訴訟の管轄裁判所とは?どの裁判所に訴えるのかをわかりやすく解説

取消訴訟を起こすときは、どの種類の裁判所に提起するかと、どの地域の裁判所を選ぶかを確認する必要があります。取消訴訟の管轄は、行政事件訴訟法12条などに定められています。

取消訴訟の第一審は原則として地方裁判所

裁判所の種類に関する管轄

取消訴訟の第一審は、原則として地方裁判所が担当します。

「管轄」には2つの意味がある

管轄には、主に次の2つの意味があります。

  • 事物管轄:地方裁判所など、どの種類の裁判所が扱うか
  • 土地管轄:全国の地方裁判所のうち、どの地域の裁判所が扱うか

取消訴訟では、まず地方裁判所に提起し、そのうえで土地管轄のルールにより具体的な裁判所を決めます。

取消訴訟を提起できる地方裁判所の原則

被告の所在地を管轄する地方裁判所

原則として、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に提起できます。普通裁判籍とは、被告の所在地を基準に決まる一般的な管轄のことです。

取消訴訟では、処分または裁決をした行政庁が所属する国や公共団体などが、被告となるのが基本です。被告が国の場合は、訴訟で国を代表する官庁の所在地を基準に管轄裁判所が決まります。

処分・裁決をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所

被告の所在地とは別に、処分または裁決をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所にも提起できます。

たとえば、処分または裁決に関する事案の処理に当たった下級行政機関がある場合、その行政機関の所在地を管轄する地方裁判所も候補になります。

事件の内容や原告の普通裁判籍によって認められる特別な管轄

国や独立行政法人などを被告とする場合

国または独立行政法人通則法に規定する独立行政法人などを被告とする取消訴訟では、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起できます。これは特定管轄裁判所と呼ばれます。

したがって、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に必ず提起できるという意味ではありません。原告の普通裁判籍と高等裁判所の管轄関係を確認する必要があります。

不動産や特定の場所に関する処分・裁決の場合

土地の収用、鉱業権の設定など、不動産または特定の場所に関する処分・裁決については、その不動産や場所の所在地を管轄する地方裁判所にも提起できます。

事案を処理した下級行政機関がある場合

処分または裁決に関する事案の処理に当たった下級行政機関があるときは、その機関の所在地を管轄する地方裁判所も選択肢になります。

まとめ|取消訴訟は管轄の候補を確認して地方裁判所に提起する

取消訴訟の第一審は、原則として地方裁判所です。提起先としては、次の裁判所が基本的な候補になります。

  • 被告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
  • 処分または裁決をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所

さらに、事件によっては、特定管轄裁判所、不動産や場所の所在地を管轄する地方裁判所、事案の処理に当たった下級行政機関の所在地を管轄する地方裁判所にも提起できます。提訴前に、処分・裁決の内容、被告、行政庁や関係機関の所在地を確認することが重要です。