地方議会には、普通地方公共団体の事務を調査するため、選挙人その他の関係人に対し、議会への出頭や証言、記録の提出を求める権限があります(地方自治法100条1項)。
ただし、議会の調査権は、普通地方公共団体の事務について認められるものであり、一定の事務は対象から除かれます。
地方議会の調査権とは
普通地方公共団体の事務を調査する権限
地方自治法100条1項は、議会が当該普通地方公共団体の事務を調査できると定めています。調査を行うため特に必要があると認められるときは、選挙人その他の関係人に対し、次のことを求めることができます。
- 議会への出頭
- 証言
- 記録の提出
調査の対象外となる事務
自治事務であっても、労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものは、調査の対象から除かれます。
また、法定受託事務についても、国の安全を害するおそれがあることその他の事由により、議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものは対象外です。
証言や記録の提出を求めることができる場面
出頭・証言・記録提出を求められる相手
相手は、選挙人その他の関係人です。議会は、調査を行うため特に必要があると認めるときに、出頭、証言または記録の提出を請求できます。
関係団体への照会・記録送付の求め
議会が調査を行うため、当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし、または記録の送付を求めたときは、その団体等は求めに応じなければなりません(地方自治法100条10項)。
正当な理由なく拒否した場合と職務上の秘密
正当な理由のない拒否には罰則がある
正当な理由がないのに、議会に出頭せず、記録を提出せず、または証言を拒んだときは、6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処せられます(地方自治法100条3項)。
議会は、選挙人その他の関係人がこの罪を犯したものと認めるときは、告発しなければなりません(同条9項本文)。
職務上の秘密に関する例外
選挙人その他の関係人が、公務員たる地位において知り得た事実について、職務上の秘密に属するものである旨を申し立てた場合、議会は、当該官公署の承認がなければ、その事実に関する証言または記録の提出を請求できません(地方自治法100条4項)。
官公署が承認を拒むときは、その理由を疎明しなければなりません。議会がその理由にないと認めるときは、官公署に対し、証言または記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求できます。
官公署が要求を受けた日から20日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言または記録を提出しなければなりません(同条5項・6項)。
地方議会の調査権を理解するポイント
- 調査対象は、原則として当該普通地方公共団体の事務である
- 出頭・証言・記録提出の請求には、調査のため特に必要であることが求められる
- 正当な理由のない拒否には、罰則があり、議会は告発しなければならない
- 自治事務や法定受託事務の一部は、調査の対象から除かれる
- 職務上の秘密については、官公署の承認などに関する特別な手続がある
