成年被後見人や被保佐人でも、取締役になれるのでしょうか。結論として、成年被後見人・被保佐人であることだけを理由に、取締役になれないわけではありません。ただし、就任承諾の方法が通常の場合と異なります。
成年被後見人・被保佐人は取締役になれる
取締役になれない欠格事由に該当しない限り就任できる
取締役は自然人でなければならず、法人は取締役になれません。また、会社法違反など一定の犯罪によって刑に処せられた者など、法律上の欠格事由に該当する人も就任できません。
一方、成年被後見人や被保佐人であること自体は欠格事由ではありません。そのため、必要な手続を踏めば、制限行為能力者であっても取締役に就任できます。
成年被後見人と被保佐人では必要な手続が異なる
成年被後見人の場合は、成年後見人が本人に代わって就任承諾をします。被保佐人の場合は、原則として本人が就任を承諾し、その承諾について保佐人の同意を得ます。
成年被後見人が取締役に就任する手続
成年後見人が本人の同意を得て就任を承諾する
成年被後見人を取締役に就任させるには、成年後見人が本人の同意を得たうえで、本人に代わって就任を承諾します。後見監督人がいる場合は、本人に加えて後見監督人の同意も必要です。
株主総会で取締役に選任される必要がある
成年後見人による承諾だけで就任できるわけではありません。まず、株主総会の普通決議で取締役に選任され、その後に必要な同意と就任承諾を行います。
被保佐人が取締役に就任する手続
原則として本人の就任承諾と保佐人の同意が必要
被保佐人も、先に株主総会で取締役に選任されなければなりません。そのうえで、本人が就任を承諾し、その承諾について保佐人の同意を得るのが原則です。
代理権を付与された保佐人が承諾する場合
保佐人に就任承諾についての代理権が付与されている場合は、保佐人が本人に代わって承諾できます。
取締役への選任から就任までの流れ
- 株主総会の普通決議で取締役に選任する。定足数は、定款で定める場合でも、議決権を行使できる株主の議決権の3分の1未満にはできません。
- 成年被後見人の場合は本人、後見監督人がいる場合は本人と後見監督人の同意を得る。被保佐人の場合は保佐人の同意を得る。
- 成年被後見人は成年後見人が、被保佐人は本人または代理権のある保佐人が就任承諾をする。
なお、成年被後見人または被保佐人が取締役の資格に基づいて行った行為は、行為能力の制限を理由として取り消すことができません。
まとめ
- 成年被後見人・被保佐人であることだけで取締役になれなくなるわけではない。
- 就任には、株主総会の普通決議による選任が必要。
- 成年被後見人は、必要な同意を得て成年後見人が就任承諾をする。
- 被保佐人は、保佐人の同意を得て本人が承諾するのが原則。
- 代理権のある保佐人が本人に代わって承諾することもできる。
