事業譲渡の手続とは?事業譲渡契約と株主総会の承認を解説

事業譲渡の手続では、まず譲渡対象財産や対価などを定めた事業譲渡契約を締結します。そのうえで、事業の全部または重要な一部を譲渡する場合などには、株主総会の特別決議による承認が必要です。ただし、簡易事業譲渡や略式事業譲渡に該当すれば、承認が不要となることがあります。

スポンサーリンク

事業譲渡とは

事業譲渡の意味

事業譲渡とは、一定の事業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要な一部を他社に譲渡し、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受会社に受け継がせることです。

対象には、店舗や設備などの財産だけでなく、得意先関係などの経済的価値のある事実関係も含まれます。

事業譲渡をしても譲渡会社は当然には解散しない

事業の全部を譲渡しても、譲渡会社が当然に解散するわけではありません。

事業譲渡の手続と株主総会の承認

事業譲渡契約を締結する

譲渡会社と譲受会社は、譲渡対象財産やその対価といった契約内容を定めて、事業譲渡契約を締結します。

事業譲渡契約で定めた内容に従って、譲渡対象財産が移転します。

株主総会の特別決議が必要となる場合

次の事業譲渡・譲受けでは、株主総会の特別決議による承認が必要です。

会社 内容 承認
譲渡会社 事業の全部を譲渡 必要
譲渡会社 事業の重要な一部を譲渡 必要
譲受会社 事業の全部を譲り受ける 必要
譲受会社 事業の重要な一部を譲り受ける 不要

「重要な一部」とは、譲渡する資産の額が譲渡会社の総資産額の5分の1を超えるものをいいます。

株主総会の承認が不要となる例外

簡易事業譲渡では、譲渡会社に対し事業譲渡の対価として交付する財産の額が、譲受会社の純資産額の5分の1を超えない場合、譲受会社の株主総会の承認は不要です。

略式事業譲渡では、当事会社の一方が他方の議決権の10分の9以上を有する特別支配会社である場合、被支配会社の株主総会の承認は不要です。

反対株主の株式買取請求権と債権者保護

事業の譲渡または譲受けに株主総会の承認を要する場合、反対した株主には、会社に対する株式買取請求権が認められます。

一方、事業譲渡には、債権者による異議申立ての手続は設けられていません。

事業譲渡の効力発生と譲渡後の注意点

効力発生日に契約対象の財産が移転する

事業譲渡契約で定めた効力発生日などに事業譲渡の効力が生じると、当事者間では、契約の定めに従って譲渡対象財産に対する権利が移転します。

ただし、動産・不動産・債権など、第三者に権利移転を主張するために対抗要件が必要な財産については、それぞれ対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません。

譲渡会社の競業避止義務

事業譲渡後、譲渡会社は法律上の競業避止義務を負います。別段の意思表示がない限り、同一の市区町村および隣接する市区町村の区域内で、事業を譲渡した日から20年間、譲渡した事業と同一の事業を行うことはできません。

譲渡対象事業の債務は原則として当然には移転しない

事業譲渡をしても、譲渡会社にすでに生じていた譲渡対象事業に関する債務は、当然には譲受会社に移転しません。

ただし、譲受会社が譲渡会社の商号を続用する場合には、譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負います。

また、譲受会社が譲渡会社の商号を続用しない場合でも、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は譲受会社に対して弁済を請求することができます。

一方、譲受会社が譲渡会社の商号を続用する場合でも、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店所在地において譲渡会社の債務を弁済しない旨を登記した場合、または譲受会社および譲渡会社から第三者にその旨を通知した場合には、譲受会社は譲渡会社の債務を弁済する責任を負いません。