社債の譲渡とは?まず押さえる基本
社債とは、会社を債務者とする金銭債権です。社債権者は、原則として、その社債を他人に譲渡できます。
ここで重要なのは、譲渡の効力要件と対抗要件を区別することです。前者は、譲渡人と譲受人の間で譲渡を成立させるための要件、後者は、会社や第三者に対して「自分が社債権者である」と主張するための要件を意味します。
社債券が発行されているか、また記名社債か無記名社債かによって、必要な手続が変わります。
社債の譲渡方法・効力要件|社債券の有無で異なる
社債券が発行されていない記名社債
社債券が発行されていない記名社債は、譲渡人と譲受人の合意(意思表示)だけで、当事者間の譲渡の効力が生じます。これは、権利の移転が当事者の意思表示だけで成立するという民法176条の原則によるものです。社債券を交付する必要はありません。
社債券が発行されている社債
社債券が発行されている場合は、合意だけでは足りません。社債券を譲受人に交付することが譲渡の効力要件です(会社法687条)。つまり、社債券の交付がなければ、当事者間でも社債譲渡の効力は生じません。
社債譲渡の対抗要件|会社・第三者に主張するための手続
社債券が発行されていない場合
譲渡の合意によって譲渡自体は成立しますが、譲受人の氏名または名称・住所を社債原簿に記載または記録しなければ、社債発行会社その他の第三者に譲渡を対抗できません(会社法688条1項)。
社債券が発行されている場合
記名社債では、会社に対して譲渡を主張するには、譲受人の氏名または名称・住所を社債原簿に記載または記録する必要があります(会社法688条2項)。
一方、会社以外の第三者に対しては、社債券の引渡しがあれば譲渡を対抗できます。したがって、社債原簿への記載・記録は会社への対抗要件であり、第三者への対抗には社債券の引渡しで足ります。
無記名社債の場合
無記名社債は、社債券の発行を要する社債です。社債券を引き渡すだけで、社債発行会社その他の第三者に譲渡を対抗できます(会社法688条3項)。記名社債のように、社債原簿への記載・記録を要件とする扱いとは異なります。
社債の譲渡方法と対抗要件の違いまとめ
| 区分 | 譲渡の効力要件 | 会社への対抗要件 | 会社以外の第三者への対抗要件 |
|---|---|---|---|
| 社債券が発行されていない記名社債 | 当事者間の意思表示 | 社債原簿への記載・記録 | 社債原簿への記載・記録 |
| 社債券が発行されている記名社債 | 社債券の交付 | 社債原簿への記載・記録 | 社債券の引渡し |
| 無記名社債 | 社債券の交付 | 社債券の引渡し | 社債券の引渡し |
確認する際は、①社債券の有無、②記名社債か無記名社債か、③社債原簿への記載・記録の要否、④社債券の引渡しの要否を順番に確認すると整理しやすくなります。
まとめ
社債は原則として自由に譲渡できます。社債券が発行されていない記名社債は当事者間の意思表示で譲渡の効力が生じ、社債券が発行されている社債はその交付が必要です。記名社債では、会社への対抗に社債原簿への記載・記録が必要ですが、会社以外の第三者には社債券の引渡しで対抗できます。無記名社債は、社債券の引渡しだけで会社や第三者に対抗できます。
