表現の自由とは?憲法21条の意義と保障される理由をわかりやすく解説

表現の自由とは?憲法21条1項が保障する内容

思想や意見を外部に表明する自由

表現の自由とは、心の中で考えた思想や意見を、言葉・文章・出版・映像などによって外部に伝える自由です。憲法21条1項は、表現の自由を保障しています。

思想・良心の自由や信教の自由が、主に内心で何を考え、何を信じるかを保障するのに対し、表現の自由は、その考えを社会に示す外面的な精神活動を守るものです。また、自分の意見を述べるだけでなく、事実を伝える報道も表現の自由に含まれます。

情報を受け取る自由としての「知る権利」

表現の自由は、情報を発信する側だけの権利ではありません。国民がさまざまな情報に接し、それを材料に自分の意見を形成することも重要です。

このような情報を受け取り、知識や意見を形成する自由は、表現の自由から導かれる「知る権利」と捉えられています。情報の自由な伝達と受け取りがあってこそ、国民は社会の問題を判断できます。

表現の自由が保障される理由

個人の人格を発展させるため

人は、自分の考えを表明し、他者の意見にも触れることで、思想や人格を形成・発展させます。表現の自由は、自分らしく生きるための基盤となる権利です。この個人的な意義を自己実現の価値といいます。

民主主義を支えるため

国民が政治や社会について意見を述べ、互いの考えや情報を知ることで、政治上の意思決定に参加できます。自由な言論がなければ、判断に必要な材料が得られず、民主主義は十分に機能しません。この社会的な意義を自己統治の価値といいます。

このように個人の人格と民主主義を支える重要性から、表現の自由は人権の中でも「優越的地位」にあると考えられています。

表現の自由はどこまで保障される?限界と例外

表現の自由は重要ですが、絶対に制限されない権利ではありません。公共の福祉との調整のため、一定の制限を受けることがあります。

わいせつな表現に対する規制

刑法175条は、わいせつな文書・図画・電磁的記録などの頒布等を禁止しています。判例上、わいせつとは、性欲を興奮・刺激し、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいいます。

芸術性や思想性のある作品でも、それだけでわいせつ性が否定されるわけではありません。作品全体の内容などを踏まえて判断されます。

名誉やプライバシーを侵害する表現に対する調整

他人の名誉やプライバシーを傷つける表現では、表現の自由と人格的利益のバランスが問題になります。名誉毀損については、公共の利害に関する事実か、公益を図る目的があるか、真実であることを証明できるかなどが判断要素となります。

真実の証明ができない場合でも、確実な資料や根拠に照らして真実だと信じたことに相当な理由があれば、名誉毀損罪が成立しないことがあります。ただし、インターネット上の投稿だからといって、表現の自由を理由に緩やかに扱われるわけではありません。

まとめ|表現の自由とは、個人と民主主義を支える重要な権利

表現の自由とは、思想や意見を外部に表明する自由であり、憲法21条1項によって保障されています。情報を受け取る「知る権利」も、その重要な内容です。一方で、わいせつ表現や名誉・プライバシーを侵害する表現などは、他人の権利や社会生活との調整のため制限されることがあります。