憲法39条は、主に遡及処罰の禁止、一事不再理、そして同じ犯罪について重ねて責任を問うことの禁止を定めています。
憲法39条が定める3つの禁止
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
条文は、次の3つの内容に分けて理解できます。
- 行為の時点で適法だった行為を、後から処罰しない(遡及処罰の禁止)
- 無罪とされた行為について、改めて刑事責任を問わない(一事不再理に関係する規定)
- 同じ犯罪について、繰り返し刑事責任を問わない(二重の危険・二重処罰の禁止に関係する規定)
遡及処罰の禁止とは
遡及処罰の禁止とは、行為をした時点では犯罪ではなかった行為を、その後に制定・改正された刑罰法規によって処罰してはならないという原則です。「事後法の禁止」とも呼ばれます。
一事不再理とは?二重の危険・二重処罰との違い
一事不再理とは、同じ事件について、いったん終わった刑事裁判を再び審理することを認めない原則です。特に、すでに無罪とされた行為について、改めて刑事責任を追及しないという憲法39条の内容と結びついています。
- 二重の危険の禁止:同じ犯罪について、被告人を二度、刑事手続による処罰の危険にさらさない考え方
- 二重処罰の禁止:一度処罰した同じ行為について、別の罪名などで重ねて処罰しない考え方
- 一事不再理:同一の事件を再び審理しない考え方
憲法39条のどの部分が一事不再理、二重の危険、二重処罰の禁止を定めるのかについては複数の見解があります。ただし、結論に大きな違いはないとされています。
刑事罰と行政上の制裁は同じ扱いか
判例は、刑罰が反社会的な行為に対する制裁であるのに対し、追徴税や加算税は納税義務違反の発生を防止し、納税の実を挙げる趣旨の行政上の措置であり、性格が異なるとして、両者を併科しても憲法39条に違反しないとしています。
まとめ
- 憲法39条は、刑事責任の追及に限界を設ける規定です。
- 遡及処罰の禁止は、行為時に適法だった行為を後から処罰しない原則です。
- 一事不再理は、同じ事件を改めて審理しない原則です。
- 憲法39条には、二重の危険や二重処罰の禁止に関係する内容も含まれます。
- 刑事罰と行政上の制裁は、目的や性格が異なるため、併科しても憲法39条に違反しない場合があります。
