司法権とは、具体的な争訟に法を適用し、裁判所が最終的な判断を示して解決する国家作用です。民事事件や刑事事件だけでなく、行政事件の裁判も行います。
裁判所法3条1項は、裁判所が「一切の法律上の争訟を裁判する」と定めています。ここでいう「法律上の争訟」は、司法権が扱うことのできる具体的な争訟を意味します。
法律上の争訟に当たるための2つの要件
当事者間の具体的な権利義務・法律関係に関する紛争であること
まず、当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否について、紛争がなければなりません。
法令を適用して終局的に解決できること
次に、その紛争を法令の適用によって終局的に解決できる必要があります。
この2つの要件は、どちらも必要です。具体的な権利義務や法律関係に関する紛争であっても、法令を適用して終局的に解決できないものは、法律上の争訟には当たりません。
法律上の争訟に当たらず、裁判所が判断できない場合
宗教上の教義や信仰の対象の価値が争いの中心となる場合
宗教に関係する事件でも、常に裁判所の判断の対象とならないわけではありません。ただし、結論を出すために宗教上の教義や信仰の対象の価値を判断しなければならず、それが争いの核心となっている場合は、司法審査の対象とはなりません。
板まんだら事件(最判昭56・4・7)では、寄付金の返還請求という形式であっても、実質的には信仰の対象の価値や宗教上の教義に関する判断が結論を左右するとされ、法律上の争訟に当たらないと判断されました。
学問上・技術上の優劣や当否を判断する場合
国家試験の合否の判定のように、技術上または学問上の知識などの優劣・当否を判断するものは、裁判所の判断の対象とはならないとされています。
まとめ|司法権は「法律上の争訟」を解決する権限
司法権とは、具体的な争訟に法令を適用し、裁判所が終局的に解決する国家作用です。裁判所が判断できる「法律上の争訟」には、当事者間の具体的な権利義務・法律関係に関する紛争であることと、法令の適用によって終局的に解決できることの両方が必要です。
