国会の権能と議院の権能は、どちらも国会に関係する権限ですが、権限を行使する主体が異なります。国会は衆議院と参議院で構成され、原則として両議院の意思が一致したときに国会としての意思が成立します。一方、議院の権能は、衆議院または参議院が、それぞれ単独で行使できる権限です。
国会の権能と議院の権能の違い
国会の権能とは
国会全体に認められた権限です。原則として、衆議院と参議院の議決が一致することで行使されます。ただし、法律案、予算、条約の承認、内閣総理大臣の指名については、一定の条件のもとで衆議院の議決が優先されます。
議院の権能とは
衆議院または参議院が、もう一方の議院と意思を一致させなくても行使できる権限です。各議院の組織や運営、国政調査などに関するものが中心です。
| 区分 | 主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国会の権能 | 国会全体 | 両議院の一致、または衆議院の優越により行使 |
| 議院の権能 | 衆議院または参議院 | 各議院が独自に行使 |
国会の権能に含まれる6つの権限
- 憲法改正の発議:憲法改正を発議する権限です。
- 法律案の議決:法律案を審議し、議決する権限です。原則は両議院の可決ですが、参議院が異なる議決をした場合、衆議院が出席議員の3分の2以上で再可決すれば法律となります。参議院が休会期間を除き60日以内に議決しない場合も、一定の手続により衆議院の議決を優先できます。
- 内閣総理大臣の指名:国会が内閣総理大臣を指名する権限です。両議院の指名が異なる場合などは、一定の条件のもとで衆議院の指名が国会の指名となります。
- 条約の承認:条約の締結に必要な承認を行う権限です。両議院の議決が一致しない場合などには、衆議院の議決が優先されます。
- 財政の監督:予算の議決など、国の財政を監督する権限です。予算は先に衆議院へ提出され、一定の場合には衆議院の議決が国会の議決となります。
- 弾劾裁判所の設置:罷免の訴追を受けた裁判官を裁判する弾劾裁判所を設置する権限です。弾劾裁判所は国会とは別個の機関で、国会の閉会中も活動できます。
議院の権能に含まれる7つの権限
議院の権能は、衆議院と参議院がそれぞれ自主的に行使します。
- 役員選任権:議院の役員を選任する権限
- 議院規則制定権:議院の規則を定める権限
- 議員の資格争訟の裁判権:議員の資格に関する争いを裁判する権限
- 議員の懲罰権:議員を懲罰する権限
- 議員釈放要求権:会期前に逮捕された議員について、会期中の釈放を求める権限
- 国政調査権:国政を調査し、証人の出頭・証言や記録の提出を求める権限
- 国務大臣の出席要求権:国務大臣に議院への出席を求める権限
つまり、国会の権能は両議院を含む国会全体の権限であり、議院の権能は衆議院・参議院が個別に行使する権限です。両者を区別するには、権限を行使する主体に注目すると分かりやすいでしょう。
