執行停止の3種類とは?処分の効力・執行・手続の続行の停止を解説

行政処分の取消訴訟を起こしても、原則として処分は止まりません。これを執行不停止の原則といいます。処分による重大な損害を避けるため、緊急の必要がある場合には、行政事件訴訟法25条に基づく「執行停止」を申し立てます。

執行停止とは?原則と認められる条件

執行停止とは、取消訴訟において、処分の効力、処分の執行または手続の続行を一時的に止める制度です。取消訴訟における仮の救済手段にあたります。

ただし、訴訟を提起しただけで自動的に停止するわけではありません。原告による裁判所への申立てが必要で、次の要件を満たす必要があります。

  • 適法に取消訴訟が提起されていること
  • 重大な損害を避けるため、緊急の必要があること
  • 執行停止によって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと
  • 本案について理由がないとみえるときではないこと

「重大な損害」は、損害を後から回復することが難しいかを考慮し、損害の性質・程度や処分の内容・性質も勘案して判断されます。執行停止は疎明に基づいて判断され、積極要件については申立人が、消極要件については申立てを受けた行政主体が、それぞれ疎明する責任を負います。

執行停止の3種類とそれぞれの違い

1. 処分の効力の停止

行政処分が持つ法的な効力そのものを止めるものです。ただし、処分の執行または手続の続行を止めれば目的を達成できるときは、処分の効力自体を停止できません。

2. 処分の執行の停止

処分の内容を実現するための強制行為を止めます。処分の法的効果全体ではなく、処分を実現する行為を対象とします。

3. 手続の続行の停止

ある処分を前提として、その後に進められる他の行為を止めます。

種類 停止する対象 意味
処分の効力の停止 処分の法的効力 処分の効力自体を止める
処分の執行の停止 処分を実現する強制行為 処分内容の実現を止める
手続の続行の停止 処分を前提とする他の行為 後続手続の続行を止める

執行停止の申立て・決定で押さえるポイント

執行停止は裁判所が職権で決定することはできず、原告の申立てが必要です。申立てをすれば必ず認められるわけではなく、要件を満たすかが審査されます。決定は口頭弁論を経ずにすることもできますが、裁判所はあらかじめ当事者の意見を聴かなければなりません。

申立てに対する決定には即時抗告をすることができます。ただし、即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しません。