民法は、私人同士の生活や財産に関するルールを定める法律です。その根底には、個人の自由な意思を尊重する考え方があります。代表的なものが、所有権絶対の原則、契約自由の原則、過失責任の原則です。
もっとも、これらは無制限に認められるわけではありません。民法1条によって、社会全体の利益や相手方との信頼に配慮するよう調整されています。
民法の基本原則は3つある
所有権絶対の原則
所有権とは、土地や建物などの物を支配する権利です。所有権絶対の原則とは、所有者が原則として、所有物を使用したり、他人に利用させたり、処分したりできるという考え方をいいます。
所有権は、特定の相手との契約に基づく権利ではなく、広く第三者に対して主張できる権利です。ただし、「絶対」といっても、公共の利益や権利の適切な行使との関係で制限されます。
契約自由の原則
契約自由の原則とは、私人が自分の意思に基づいて契約を決められるという考え方です。具体的には、次の事項を自由に選択できます。
- 契約を結ぶかどうか
- 誰と契約するか
- どのような内容にするか
- どのような方式にするか
この原則は、私人が自らの意思で権利を取得し、義務を負うという私的自治の考え方とも関係します。
過失責任の原則
過失責任の原則とは、他人に損害を与えても、原則として故意または過失がある場合に責任を負うという考え方です。故意とはわざと行うこと、過失とは落ち度があることを指します。
したがって、故意も過失もない場合には、原則として損害賠償責任を負いません。
民法の基本原則は無制限ではなく、民法1条で修正されている
これらの原則をそのまま貫くと、他人の利益や社会全体に不都合が生じることがあります。そこで民法1条は、次のルールを定めています。
私権の公共性
民法1条1項は、私権が公共の福祉に適合しなければならないと定めています。私権とは、私人が持つ権利です。権利者であっても、社会全体の利益に反する形で自由に行使できるわけではありません。
信義誠実の原則
同条2項は、権利の行使や義務の履行を、信義に従い誠実に行うよう求めています。相手方から一般に期待される信頼を不当に裏切らないことが必要であり、この原則は契約関係に限らず民法全体に及びます。
権利濫用の禁止
同条3項は、権利の濫用を禁止しています。形式的には権利の行使でも、本来の権利の内容を逸脱し、社会観念上許される範囲を超える場合には認められません。
まとめ
民法の基本原則は、所有権絶対、契約自由、過失責任の3つです。これらは私人の自由を尊重するための原則ですが、無制限ではありません。私権の公共性、信義誠実の原則、権利濫用の禁止によって調整される点まで、セットで理解することが重要です。
