共有物の管理は、共有者の人数ではなく、原則として各共有者の持分の価格の過半数で決めます。ただし、現状を維持する保存行為は各共有者が単独ででき、形状や効用の著しい変更には共有者全員の同意が必要です。ここでは、共有物の管理を決める基準と例外を説明します。
共有物の管理は「持分の価格の過半数」で決める
共有物と持分の基本
共有とは、1つの物を複数人が共同で所有することです。持分は、各共有者が持つ所有権の割合を意味します。共有者の持分が明らかでない場合は、各共有者の持分が等しいものと推定されます。
管理の判断では、共有者の人数ではなく、それぞれの持分の価格を基準にします。
過半数による決定の考え方
共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決定します。頭数の過半数ではありません。また、持分の価格がちょうど50%では足りず、50%を超える必要があります。
過半数で決められる管理事項
管理に当たるものには、共有物の管理方法の決定、管理者の選任・解任、形状や効用の著しい変更を伴わない軽微な変更などがあります。共有物を使用している共有者がいる場合も、原則として持分の価格の過半数で管理事項を決めます。
また、次の期間を超えない賃借権などの設定も、管理として扱われます。
- 樹木の栽植・伐採を目的とする山林:10年以内
- その他の土地:5年以内
- 建物:3年以内
- 動産:6か月以内
過半数による管理決定ができない場合との違い
保存行為は各共有者が単独でできる
修繕など、共有物の現状を維持するための保存行為は、持分の価格の過半数による決定がなくても、各共有者が単独でできます。共有地を不法に占有する者への妨害排除請求や返還請求も、各共有者が単独で行えます。
共有物の変更には共有者全員の同意が必要
農地を宅地に変更する、共有物を全部売却するなど、形状や効用を著しく変更する行為は「管理」ではなく「変更」です。原則として共有者全員の同意が必要です。ただし、著しい変更を伴わない軽微な変更は、管理行為として持分の価格の過半数で決められます。
使用共有者に特別な影響がある場合
共有者間の決定に基づいて共有物を使用している共有者に、管理決定が特別な影響を及ぼすときは、その共有者の承諾も必要です。一方、共有者間の決定に基づかずに共有物を使用している共有者については、持分の価格の過半数による決定により、明渡しを求めることができます。
所在や賛否が分からない共有者がいる場合の決め方
共有者を知ることができない、または所在が分からない場合、共有者は裁判所に請求することができます。裁判所は、所在などが不明な共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で管理事項を決めることができる旨の裁判をすることがあります。
また、共有者に相当の期間を定めて賛否を示すよう催告し、それでも期間内に回答がない場合も、裁判所に請求することができます。この場合も、賛否を示さない共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で管理事項を決めることができる旨の裁判がされることがあります。
共有物の管理を決める際のポイント
- 共有者ごとの持分を確認する
- 行為が保存・管理・変更のどれに当たるかを整理する
- 管理であれば、人数ではなく持分の価格の過半数で決める
- 共有物の変更には原則として全員の同意を得る
- 特定の使用共有者に特別な影響がある場合は承諾を得る
- 所在不明や賛否不明の共有者がいる場合は裁判所の手続を検討する
まとめ
共有物の管理は、共有者の人数ではなく、各共有者の持分の価格の過半数で決めるのが原則です。管理方法の決定、管理者の選任・解任、軽微な変更などが管理に当たります。一方、保存行為は各共有者が単独ででき、形状や効用を著しく変更する行為には全員の同意が必要です。
