共有物の賃貸借は過半数で決められる?短期賃借権の期間も解説

共有物を第三者に貸し出すとき、「共有者の人数で過半数の賛成が必要」と考えるのは正確ではありません。短期賃借権等の設定は共有物の管理にあたり、各共有者の持分の価格に従った過半数で決められます。

ただし、一定の期間を超える賃貸借は共有物の「変更」と扱われるため、共有者全員の同意が必要です。

共有物の賃貸借は「持分の価格」の過半数で決められる

過半数は共有者の人数ではなく、持分の価格で判断する

共有物の管理に関する事項は、共有者の人数ではなく、それぞれの持分の価格を基準に過半数を判断します。

たとえば、共有者3人の持分がそれぞれ2分の1、3分の1、6分の1だとします。持分6分の1と3分の1の共有者が賛成しても、合計は2分の1にとどまり、過半数には達しません。一方、持分2分の1と3分の1の共有者が賛成すれば、合計は6分の5となり、人数が2人であっても決定できます。

短期賃借権等の設定は「管理」にあたる

共有物に賃借権など、使用・収益を目的とする権利を設定する行為は、一定の期間内であれば共有物の管理にあたります。そのため、期間の上限を超えない賃貸借であれば、共有者全員の同意ではなく、持分の価格の過半数で決定できます。

短期賃借権の期間は共有物の種類によって異なる

持分の価格の過半数で設定できる賃借権等の期間は、共有物の種類によって次のように異なります。

共有物・賃貸借の目的 期間の上限
樹木の栽植または伐採を目的とする山林 10年
上記以外の土地 5年
建物 3年
動産 6か月

判断の基準は、契約期間が上限を超えるかどうかです。たとえば、共有建物を3年以内の契約期間で貸す場合は、管理行為として持分の価格の過半数で決められます。ここでいう賃借権等には、賃借権だけでなく、共有物の使用や収益を目的とする権利も含まれます。

期間を超える賃貸借には共有者全員の同意が必要

上記の期間を超える賃借権等の設定は、共有物の変更にあたります。共有物の変更には、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、持分の価格の過半数だけで、長期間の賃貸借を決めることはできません。

短期賃借権等の期間内なら持分の価格の過半数、期間を超えるなら共有者全員の同意という区別が重要です。なお、共有者間の決定に基づいて共有物を使用している共有者に特別の影響を及ぼす管理行為については、その共有者の承諾も必要です。

まとめ

  • 短期賃借権等の設定は、共有物の管理にあたる。
  • 過半数は共有者の人数ではなく、持分の価格で判断する。
  • 期間の上限は、山林10年、土地5年、建物3年、動産6か月である。
  • 上限を超える賃貸借は共有物の変更となり、共有者全員の同意が必要である。