財産を共同所有する方法には、共有のほかに、総有や合有があります。これらは、構成員が財産について持分権を持つかどうか、分割請求や持分譲渡ができるかどうかに違いがあります。
ここでは、総有・合有・共有の違いを、持分権、分割請求、持分譲渡の可否から整理します。
総有・合有・共有とは?
総有とは
総有とは、団体の財産について、各構成員が持分権を持たない共同所有の形態です。
そのため、構成員は財産の分割を請求したり、持分を譲渡したりできません。マンション管理組合など、法人格のない団体(権利能力なき社団)の財産は、総有とされます(最判昭32・11・14)。
合有とは
合有とは、団体の財産について、各構成員が潜在的な持分権を有する共同所有の形態です。
民法上の組合など、組合の財産は合有と解されています。組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができません。また、組合財産について持分を処分しても、その処分を組合や組合と取引した第三者に対抗できないため、持分の譲渡は原則として認められていません。
共有とは
共有とは、複数人がそれぞれ財産について持分権を持つ共同所有の形態です。各共有者は自分の持分を譲渡でき、共有物の分割も請求できます。
総有・合有・共有の違いを比較
| 共同所有の形態 | 構成員の持分権 | 財産の分割請求 | 持分の譲渡 |
|---|---|---|---|
| 共有 | ある | できる | できる |
| 総有 | ない | できない | できない |
| 合有 | 潜在的にある | 原則できない | 原則できない |
最も重要な違いは「個人で権利を行使できるか」
共有では、各共有者が自分の持分を扱えます。これに対し、総有では財産が団体に結び付いており、個々の構成員に持分はありません。
合有では潜在的な持分はあるものの、清算前は個人が自由に持分を処分したり、財産の分割を求めたりできません。判断の際は、持分権の有無と、その持分を個人で処分できるかを確認すると整理しやすくなります。
総有・合有の具体例
総有の例
マンション管理組合などの法人格のない団体が財産を所有しているケースです。財産は団体の財産であり、構成員の一人が自分の持分として譲渡したり、分割を求めたりすることはできません。
合有の例
民法上の組合が財産を所有しているケースです。各組合員には潜在的な持分がありますが、清算前に組合財産の分割を求めたり、持分の処分を組合や組合と取引した第三者に対抗したりすることはできません。
入会権との関係
用益物権である入会権には、構成員(入会権者)が土地の所有権を有するかどうかにより、「共有の性質を有するもの」と「共有の性質を有しないもの」があります。いずれも、入会団体は権利能力なき社団に属すると解されています(民法263条、294条、最判昭39・10・15)。
まとめ
- 総有:構成員に持分権がない共同所有
- 合有:潜在的な持分権はあるが、分割や持分譲渡は原則できない共同所有
- 共有:各人が持分権を持ち、持分譲渡や共有物の分割請求ができる共同所有
総有と合有の違いを判断するときは、持分権があるか、財産の分割を請求できるか、持分を譲渡できるかを比較すると理解しやすくなります。
