地役権は時効取得できる?通行地役権の成立要件を解説

長年にわたって他人の土地を通行している場合、その事実だけで通行地役権を取得できるのでしょうか。

結論として、地役権は一定の要件を満たせば時効取得できます。ただし、単に長期間通行しているだけでは不十分です。通行が継続的に行われ、外形上認識できることなどが必要です。

地役権は時効取得できる

地役権の時効取得とは

地役権とは、契約で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供することができる権利です(民法280条)。通行地役権では、通行する側の土地を要役地、通行に利用される側の土地を承役地と呼びます。

地役権は、要役地の所有者と承役地の所有者との契約によって設定できるほか、一定の要件を満たせば時効取得することもできます(民法283条)。

時効取得に必要な期間

期間は、原則として10年または20年です(民法163条)。自分に通行する権原がないことについて善意・無過失である場合は10年、そうでない場合は20年の行使が必要です。

もっとも、期間が経過していても、継続的に行使され、外形上認識できることなど、他の要件を満たさなければ時効取得は認められません。

通行地役権を時効取得するための要件

継続的に通行していること

通行地役権の時効取得には、通行が継続的に行われている必要があります。

また、承役地に通路が存在するだけでは足りません。その通路が、要役地の所有者によって開設されたことが必要です(最判昭30・12・26)。

通行の事実を外形上認識できること

民法283条は、継続的に行使され、かつ外形上認識することができる地役権に限って時効取得を認めています。

したがって、通路の開設などによって、通行地役権の行使が外形上認識できる状態であることが必要です。

10年または20年が経過していること

継続的かつ外形上認識できる通行を、必要な期間続けていることが必要です。「何十年も使っている」というだけでなく、いつから、誰が、どのような通路を開設し、どのように利用してきたのかを確認する必要があります。

要役地が共有の場合の扱い

要役地を複数人で共有している場合、共有者の1人が通行地役権を時効取得すると、他の共有者もその地役権を取得できます(民法284条1項)。

したがって、共有者のうち1人が要役地のために通路を開設して通行していた場合、要件を満たせば、他の共有者も承役地を通行できることがあります。

まとめ

通行地役権は、時効によって取得できる場合があります。主な要件は次のとおりです。

  • 通行が継続的に行われていること
  • 通行の状況を外形上認識できること
  • 通路の開設が要役地の所有者によって行われていること
  • 善意・無過失なら10年、それ以外なら20年が経過していること

長年の通行だけで判断せず、通路の開設者や利用の経緯を確認する必要があります。